この記事でわかること

白血病は余命を告げられても、分子標的薬や造血幹細胞移植、体を支える治療など、化学療法以外の選択肢があります。状態の表し方・生存率・選択肢を公的機関の情報で確認できます。
- 急性白血病に「ステージ4」という分類がないことと、状態の表し方(寛解)
- 急性・慢性、骨髄性・リンパ性の違いと、それぞれの症状
- 全国がん登録の5年生存率と、余命の数字の読み方
- 寛解導入療法・分子標的薬・造血幹細胞移植など治療の選択肢
- 化学療法以外にできること(支持療法・臨床試験・緩和ケア・統合医療)
- 当協会に寄せられた白血病の相談事例と、無料相談で整理できること
白血病は末期・余命を告げられても、できることがある

「白血病の末期と言われた」「急性骨髄性白血病で、余命は1年と告げられた」。この章では、白血病の進み具合がどのように表されるのかを公的機関の情報で整理し、この記事で扱う範囲を示します。余命を告げられた段階でも、治療とケアの選択肢は残っています。
白血病に「ステージ4」はなく、病型と病気の状態で考える

急性白血病には、ほかのがんのような「ステージ1〜4」という分類がありません。白血病は、白血病細胞が主に骨髄で増える血液のがん。急性か慢性か、骨髄性かリンパ性かという病型で大きく分けて考えます(出典:「白血病の分類」)。
状態を表すものさしは、治療で白血病細胞がどこまで減ったかを示す「寛解」です。「ステージ4」「末期」と検索されている状態の多くは、治療が効きにくくなった段階や、再発をくり返している段階にあたるでしょう。医学的に「末期」という区分はありません。まずは、病型と今の状態を主治医に確かめてください。
この記事でわかる範囲と、情報の時点

この記事では、白血病の仕組みと原因、症状、病型ごとの性質、5年生存率、検査、治療法、そして余命を告げられたときの選択肢までを、一覧で把握できるようにまとめました。医学的な事実は国立がん研究センターがん情報サービスの病型別の解説と全国がん登録のデータを根拠にし、当協会の立場からの情報とは分けて書いています。
中心に扱うのは、大人の急性骨髄性白血病です。急性リンパ性白血病と慢性白血病にも触れますが、小児の白血病は対象にしていません。生存率は過去の診断例の数値なので、目安として読んでください。
余命を告げられても、選択肢の整理はこれから始められる

「余命1年」と告げられると、もう打つ手がないように感じてしまう方は少なくありません。しかし白血病の治療は、抗がん薬だけではないのです。分子標的薬や造血幹細胞移植、貧血や感染を防ぐ支持療法があり、臨床試験という道もあります。体を支えながら治療を続けるための選択肢は、一つではありません。
標準治療をサポートする形で、統合医療を組み合わせるという考え方も選択肢の一つ。大切なのは、今の状態と選べる治療を整理して、主治医に確認することです。当協会では、その整理を無料でお手伝いしています。
白血病とは、発生の仕組みと原因

白血病は、血液をつくる細胞ががん化して起こる病気です。この章では、発生の仕組みと、わかってきている遺伝子や染色体の異常を整理します。
血液をつくる細胞ががん化して起こる、血液のがん

血液の中の赤血球、白血球、血小板は、骨の中心部にある骨髄で、造血幹細胞という「もとになる細胞」からつくられます。白血病は、この造血幹細胞が成長する途中の段階でがん化し、白血病細胞になることで起こる血液のがんです。
白血病細胞は主に骨髄で増え、正常な血液細胞がつくられにくくなります。貧血や出血、感染しやすさといった症状が出るのは、このため。2023年に白血病と診断されたのは15,165例でした。治療の中心は、薬物療法です。どの細胞ががん化したかによって、病型が分かれます。
遺伝子や染色体の異常が、発生と治療の選び方に関わる

白血病では、発生に関わる遺伝子や染色体の異常がわかってきています。急性骨髄性白血病には、原因となる遺伝子が判明している種類がいくつもあります(出典:「急性骨髄性白血病」)。
慢性骨髄性白血病では、フィラデルフィア染色体と呼ばれる異常が主な特徴。この異常からつくられるタンパク質が常に働き続け、白血病細胞が増えていきます。急性リンパ性白血病でも、同じ染色体の異常が見つかることがあり、治療の選び方が変わるのです。どの異常があるかは、検査で確かめます。結果は、治療方針の説明とあわせて聞いておきましょう。
白血病の初期症状と、進行したときの症状

白血病の症状は、正常な血液がつくられにくくなることで起こります。この章では、急性白血病と慢性白血病に分けて、気づくきっかけになる症状を整理します。
貧血・出血・発熱が、急性白血病の代表的な症状

白血病細胞が骨髄で増えると、赤血球、血小板、白血球が減っていきます。赤血球が減ると貧血になり、息切れや動悸があらわれます。血小板が少なくなれば、鼻血や歯ぐきからの出血が起こりやすい状態に。いずれも、正常な血液細胞が足りなくなることで起こる症状です。
正常な白血球が減ることで、感染しやすくなり、発熱することもあります。頭痛や関節痛を感じる方も少なくありません。こうした症状は、ほかの病気でも起こるもの。貧血や出血、発熱が重なるときは、とくに注意が必要です。続くときは、血液検査を受けられる医療機関に相談しましょう。
急性白血病は進行が速く、急に症状があらわれる

急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病は、進行が速い病気です。多くの場合、症状は急にあらわれます。そのため、すみやかな診断と治療の開始が重要とされています。診断がついたら、できるだけ早く治療を始めるのが基本です。
急性リンパ性白血病では、白血病細胞が臓器に広がって、関節の痛みやリンパ節の腫れが出ることも。脳や脊髄などの中枢神経に広がると、頭痛や吐き気が起こります。「疲れのせい」と様子を見ているうちに悪化することもあるため、気になる症状が重なったら早めに受診してください。迷ったら、まず血液検査を受けましょう。
慢性白血病は、初期にはほとんど症状がない

慢性骨髄性白血病は、ゆっくり進行します。増えた白血球もほぼ正常に働くため、慢性期と呼ばれる初期の段階では、ほとんど症状がありません(出典:「慢性骨髄性白血病」)。病気が進むと、貧血や出血、発熱、脾臓が大きくなることによるおなかの張りなどがあらわれます。
慢性リンパ性白血病も、年単位でゆっくり進むタイプ。進行すると、貧血、リンパ節の腫れ、体重減少、だるさ、発熱、大量の寝汗などが出てきます。症状がなくても、定期的な検査で変化を確かめることが欠かせません。検査の間隔は、主治医と相談して決めていきます。
白血病の種類と、それぞれの性質

白血病は、進み方と、がん化した細胞の種類によって分けられます。この章では、主な病型と、それぞれの性質を整理します。
急性と慢性、骨髄性とリンパ性に大きく分かれる

| 病型 | 進み方 | 主な治療 |
|---|---|---|
| 急性骨髄性白血病 | 速い | 抗がん薬・分子標的薬による薬物療法、造血幹細胞移植 |
| 急性リンパ性白血病 | 速い | 薬物療法(フィラデルフィア染色体があれば分子標的薬を併用)、造血幹細胞移植 |
| 慢性骨髄性白血病 | ゆっくり | 分子標的薬の内服 |
| 慢性リンパ性白血病 | ゆっくり | 無治療経過観察、分子標的薬などによる薬物療法 |
白血病は、白血病細胞が急激に増える急性白血病と、ゆっくり増える慢性白血病に大きく分けられます。さらに、それぞれが骨髄性とリンパ性に分かれるのが基本の考え方です。病型によって、治療の進め方は大きく変わります。
急性骨髄性白血病の中には、治療法が異なる急性前骨髄球性白血病というタイプも。同じ「白血病」でも、進み方も治療もまったく違います。インターネットで情報を調べるときは、自分の病型に合った内容かどうかを確かめてください。診断名は、紙に書いてもらうと安心でしょう。家族にも共有しておくと、説明を一緒に聞くときに役立ちます。
急性骨髄性白血病と、治療法が異なる急性前骨髄球性白血病

急性骨髄性白血病は、白血球になる前の未熟な細胞(骨髄芽球)に異常が起こり、がん化した細胞が主に骨髄で無制限に増える病気です。治療は、年齢や体の状態に応じた薬物療法が中心になります。
このうち、前骨髄球という細胞に異常が起こるものが急性前骨髄球性白血病。ビタミンの一種である全トランス型レチノイン酸と抗がん薬を組み合わせるなど、ほかの急性骨髄性白血病とは違う治療を行います。自分がどちらにあたるのかは、治療方針を左右する大事な情報。診断のときに確認しておきましょう。
急性リンパ性白血病は、中枢神経に広がりやすい

急性リンパ性白血病は、リンパ球になる前の細胞ががん化して増える病気です(出典:「急性リンパ性白血病」)。白血病細胞が、脳や脊髄などの中枢神経に広がりやすいことが知られています。この性質は、治療の計画にも関わる大事な点です。
治療は、フィラデルフィア染色体があるかどうかで変わります。ある場合は、分子標的薬と複数の抗がん薬を組み合わせた薬物療法。ない場合は、複数の抗がん薬による薬物療法が基本です。どちらの場合も、造血幹細胞移植が行われることがあります。染色体の検査結果を、主治医に尋ねてみてください。
慢性骨髄性白血病と慢性リンパ性白血病は、ゆっくり進む

慢性骨髄性白血病は、慢性期、移行期、急性転化期へと進む病気です。治療の中心は、分子標的薬を飲み続けること。進行した段階では、抗がん薬の併用や造血幹細胞移植が検討されます。治療の内容は、どの段階にあるかで変わるのです。
慢性リンパ性白血病は、日本ではかかる人が少ないまれながんです(出典:「慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫」)。症状がなく進行もしていないときは、治療をせずに経過をみる方法も選択肢。症状が出てきたら、分子標的薬などによる薬物療法を始めます。治療を始める時期は、主治医が検査の結果をみて判断します。
状態の表し方と、5年生存率・余命の目安

「余命1年と言われたけれど、本当にそのとおりになるのか」。この章では、白血病の状態の表し方と、全国がん登録の5年生存率、数字の読み方を整理します。
白血病は、ステージではなく病型と「寛解」で経過をみる

急性白血病の経過は、治療で白血病細胞がどこまで減ったかでみていきます。治療後に検査でがんが確認できなくなった状態が「完全寛解」です(出典:「用語集 寛解」)。完全寛解は、治療の最初の目標になります。
一方、慢性骨髄性白血病は、慢性期、移行期、急性転化期という段階で状態を表します。急性転化期には、急性白血病に似た状態に。どの病型でも、「今どの段階にいるのか」「次の目標は何か」を主治医に確かめておくことが、見通しを立てる土台になるでしょう。説明を聞くときは、メモをとっておくと安心です。
全国がん登録にみる、白血病の5年相対生存率

| 区分(2018年診断例) | 5年相対生存率 |
|---|---|
| 白血病 全体 | 50.5% |
| 男性 | 50.0% |
| 女性 | 51.2% |
全国がん登録では、2018年に診断された白血病全体の5年相対生存率は50.5%です(出典:「がん統計 白血病」)。男性は50.0%、女性は51.2%で、大きな差はありません。集計の対象は12,918例でした。
この数値は、急性と慢性、骨髄性とリンパ性のすべてを合わせたもの。病型別や、病気の段階別の数値は、この集計では示されていません。そのため、急性骨髄性白血病だけの5年生存率は、この記事には載せていない点をご了承ください。2024年の死亡数は9,972人です。
生存率の数字の読み方と、余命が数字どおりにならない理由

5年相対生存率は、あるがんと診断された場合に、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標の一つです。過去に診断された人の集団の数値であり、一人ひとりの経過を示すものではありません。診断された当時の治療にもとづく数値である点にも、注意が必要です。
主治医が伝える余命も、同じ病状の人たちの経過から導いた目安。病型、年齢、体の状態、遺伝子や染色体の異常、治療の効き方によって、実際の経過は変わります。数字だけで将来を決めつけないでください。気になるときは、その余命がどんな前提での話なのかを、主治医に尋ねてみましょう。
進行の仕方と、再発の特徴

白血病は、病型によって進み方が大きく異なります。この章では、急性白血病と慢性骨髄性白血病の進み方、再発したときの治療を整理します。
急性白血病が進むと、正常な血液がつくれなくなる

急性白血病が進むと、骨髄が白血病細胞で占められ、正常な血液細胞がつくれなくなっていきます。貧血が強くなり、出血しやすく、感染症にもかかりやすい状態です。症状は、短い期間で強くなることもあります。
血小板が大きく減ると、まれに脳内出血などが起こる場合もあります(出典:「出血しやすい・血小板減少」)。感染症は、免疫の働きが落ちていると重くなりやすいもの。出血や感染は、命に関わることもある合併症です。だからこそ、輸血や抗菌薬などで体を支える治療が欠かせません。発熱や出血に気づいたら、すぐに連絡してください。
慢性骨髄性白血病は、慢性期から移行期・急性転化期へ進む

慢性骨髄性白血病は、慢性期、移行期、急性転化期へと進行します。慢性期は白血球や血小板が増えるだけで、ほとんど症状がありません。移行期になると、全身に症状があらわれ始めます。段階が進むと、治療の内容も変わってきます。
急性転化期は、急性白血病に似た状態です。貧血や出血、発熱が起こり、脾臓が大きくなっておなかの張りを感じることも。慢性期のうちに分子標的薬の内服を続けることが、治療の基本になります。薬を自己判断でやめないでください。定期的な検査で、病気の段階が進んでいないかを確かめていきます。
再発したときや、寛解に入らないときの治療

寛解導入療法で完全寛解に至らなかった場合は、通常、もう一度寛解導入療法を行います。それでも寛解に至らないときは、次の段階の治療として救援療法へ移ります(出典:「用語集 寛解導入療法」)。
急性前骨髄球性白血病が再発した場合は、分子標的薬や抗がん薬による薬物療法のあとに、造血幹細胞移植が行われることも。再発や治療が効きにくいことは、つらい知らせです。それでも、次に選べる治療を主治医と一緒に確かめる時間は残されています。臨床試験を含めて、選択肢を主治医に尋ねてみてください。
再発を告げられたときの治療の選択については、次の記事も参考にしてください。
白血病の検査方法

白血病の診断と病型の確定には、血液と骨髄の検査が欠かせません。この章では、主な検査と、結果が治療にどう使われるかを整理します。
血液検査と骨髄検査で、診断と病型を確定する

血液・リンパのがんでは、ほとんどの場合、診断や病型を確定するために骨髄検査を受けます。皮膚を消毒して局所麻酔をしたあと、一般的には腰の骨(腸骨)に針を刺して、骨髄の組織を採る検査です。血液検査では、赤血球・白血球・血小板の数などを調べます。
採った組織を顕微鏡などで調べ、白血病細胞があるか、どの病型かを確かめます。慢性リンパ性白血病では、血液中のリンパ球を詳しく調べる検査が中心。検査の前には、痛みへの不安や気になることを伝えておいてかまいません。結果が出るまでの期間も、あわせて聞いておきましょう。
染色体検査とがん遺伝子検査で、薬と治療方針を決める

急性骨髄性白血病では、診断や薬の選択、治療効果の判定のために、染色体検査やがん遺伝子検査が行われます。どの遺伝子に異常があるかで、選ぶ薬が変わるためです。治療の効果が出ているかどうかも、これらの検査で確かめます。
急性リンパ性白血病では、フィラデルフィア染色体の有無が治療を分けるポイント。慢性リンパ性白血病でも、治療法を決めるための染色体検査が行われます。検査結果は専門用語が多く、一度で理解するのは難しいでしょう。わからない言葉は、その場で質問してください。説明を録音してよいか、尋ねてみるのも一つの方法です。
白血病の治療方法と費用感

白血病の治療は薬物療法が中心で、病型や体の状態によっては造血幹細胞移植も選択肢になります。この章では、病型ごとの治療と移植、費用、標準治療に統合医療を組み合わせる考え方を整理します。
急性白血病は、寛解導入療法から始める薬物療法が中心

急性白血病の治療は、完全寛解を目指す第一段階の強力な化学療法「寛解導入療法」から始まります。完全寛解に至ったら、寛解後療法へ進む流れです。至らなかった場合は、もう一度同じ段階の治療を行います。
急性骨髄性白血病では、年齢や体の状態に応じて、複数の抗がん薬や分子標的薬を組み合わせます。急性リンパ性白血病は、フィラデルフィア染色体の有無で薬が変わる病型。治療中は、白血球が大きく減って感染しやすくなります。入院期間や治療のスケジュールを、はじめに確認しておくと見通しが立てやすいでしょう。
慢性白血病の治療、分子標的薬と無治療経過観察

慢性骨髄性白血病では、分子標的薬を内服する治療が行われます。進行期には、抗がん薬を併用する治療や、造血幹細胞移植が行われることも。
慢性リンパ性白血病は、症状がなく病気が進行していないときには、積極的な治療をせずに経過をみていく「無治療経過観察」が選択肢になります。症状があるときや進行しているときは、分子標的薬を使うか、抗がん薬と組み合わせた薬物療法を行うのが基本です。「治療しない」と言われて不安になる方もいますが、放置とは違います。定期的な検査で、治療を始める時期を見極めていくのです。
造血幹細胞移植、自家移植と同種移植の違い

造血幹細胞移植は、大量の抗がん薬や全身への放射線照射(移植前処置)のあとに、造血幹細胞を点滴のように体に入れる治療です(出典:「造血幹細胞移植とは」)。本人の細胞を使う自家移植と、ドナーの細胞を使う同種移植があります。
同種移植では、ドナーのリンパ球が患者の白血病細胞を攻撃して再発を抑える効果も期待できます。治すことが難しい種類の血液のがんで、完治を目指して行われる治療。数カ月の入院が必要になるため、仕事や家庭、費用のことはがん相談支援センターにも相談してください。
同種移植の合併症と、ミニ移植という選択肢

同種移植には、ドナーのリンパ球が患者の臓器を攻撃する移植片対宿主病(GVHD)という合併症のリスクがあります。免疫の回復に時間がかかるため、感染症にもかかりやすい状態に。命に関わることもあるため、行うかどうかは慎重に検討されます。
移植前処置を強く行う「フル移植」は、通常50歳以下あるいは55歳以下で、体の状態がよい人が対象です。一方、前処置を弱めた「ミニ移植」なら、高齢の方や臓器に障害がある方も対象になることがあります。ただし、再発などのリスクは高くなる可能性も。長所と短所を、主治医から詳しく聞いておきましょう。
治療費は保険診療が基本、高額療養費制度で自己負担に上限がある

白血病の薬物療法や造血幹細胞移植などの標準治療は、保険診療で受けられます。医療費が一定額以上になった場合は、高額療養費制度を利用して、自己負担限度額までの支払いとすることが可能です。
白血病の治療は、入院が長くなったり、薬を長く飲み続けたりすることも少なくありません。支払いの見通しは、早めに立てておくと安心でしょう。仕事を休む間の生活や、利用できる制度のことは、病院のソーシャルワーカーやがん相談支援センターに相談できます。一人で抱え込まないでください。制度の使い方も、遠慮なく尋ねてかまいません。
統合医療・自然療法を組み合わせるという選択肢

統合医療は、厚生労働省の検討会で「近代西洋医学を前提として、これに補完代替療法や伝統医学等を組み合わせて更にQOLを向上させる医療」と位置づけられています。標準治療をサポートする形で、食事の改善、運動、心のケアなどを組み合わせる考え方です。
補完代替療法の多くは自由診療で、自己負担が増えることも少なくありません。白血病の治療中は感染しやすく、出血もしやすい時期。健康食品やサプリメントの中には、治療に影響するものもあるため、取り入れる前に必ず主治医へ伝えてください。
当協会は、この定義に基づき、標準治療をサポートする形で信頼性の高い補完代替療法の情報を整理・提供している一般社団法人です。医師や大学教授が理事を務め、特定の商品や治療法を勧めることはありません。協会が紹介している療法の分類は、次のページで確認できます。
余命を告げられたとき、化学療法以外にできること

「急性骨髄性白血病で余命1年と言われた。化学療法以外にできることはあるのか」。この章では、その問いに沿って、治療を急ぐ理由、化学療法以外の選択肢、体を支える治療、生活の工夫、療養の場所、主治医への確認事項を順に整理します。
急性白血病は、すみやかな治療開始が重要

はじめにお伝えしたいのは、急性白血病は進行が速い病気だということです。公的機関の解説でも、すみやかな診断と治療の開始が重要とされています。余命を告げられた場合でも、この点は変わりません。
「化学療法以外の方法を探してから決めたい」と考える気持ちは、自然なもの。ただ、治療を先延ばしにしている間に病状が進むおそれがあります。ほかの方法を調べるのは、主治医の治療と並行して進めてください。標準治療を受けながら、選択肢を広げていく。それが、時間を味方につける進め方です。不安な点は、遠慮なく主治医に伝えましょう。
化学療法以外の標準的な選択肢、分子標的薬・移植・臨床試験

急性骨髄性白血病の治療には、従来の抗がん薬のほかに、分子標的薬があります。遺伝子検査の結果によって、選ぶ薬が変わります。造血幹細胞移植も、病気や体の状態によっては選択肢の一つ。
がん情報サービスでは、国内で行われている臨床試験を検索できます。ただし、見つかっても参加できるとは限りません。参加を考えたいときは、まず担当医に相談しましょう。「もう方法がない」と感じたときこそ、何がまだ試せるのかを一つずつ確かめる価値があります。当協会の無料相談でも、その整理をお手伝いしています。
余命1年と告げられ、諦めるしかないと思っていた60代の男性は、当協会の相談で「この状況でもまだやれることがたくさんある」と助言を受け、専門家に最後まで継続的に支えてもらえたと話しています(当協会「ご相談者の声」より)。余命を告げられたときの考え方や選択肢は、次の記事にもまとめました。
貧血や出血、感染を防ぐ支持療法

白血病では、病気そのものや治療の影響で、赤血球、血小板、白血球が減ります。貧血が強いときや、日常生活に支障があるときに行うのが、赤血球の輸血です(出典:「貧血」)。血小板が減って出血しやすいときは、血小板の輸血を行うこともあります。
感染症は、免疫の働きが落ちていると重くなりやすいため、予防と早めの対処が欠かせません。こうした治療は「支持療法」と呼ばれ、体を支えて治療を続けるための土台。発熱や出血に気づいたら、次の受診を待たずに連絡してください。受診の目安は、あらかじめ主治医に確認しておくと安心です。
治療と並行してできる、感染対策と生活の工夫

血液のがんは、健康な人には害のない弱い細菌やカビ、ウイルスにも感染しやすくなります。手洗いやうがいをしっかり行い、けがをしないように気をつけましょう。家族にも同じように協力してもらうと安心です。
貧血があるときは、めまいやふらつきによる転倒に注意が必要です。立ち上がるときは一呼吸おいて、ゆっくり動くのがコツ。出血したときは、清潔なガーゼなどで血が止まるまでしっかり押さえます。食事や睡眠を整えることも、治療を続ける体力の支えになるでしょう。無理のない範囲で続けてください。
抗がん剤治療に加えて自宅でも取り組んでいたことについて、専門家の立場から代替策の助言を受けた50代の女性は、落ち着いた気持ちで最後まで頑張りぬけたと話しています(当協会「ご相談者の声」より)。薬物療法の副作用との付き合い方は、次の記事をご覧ください。
緩和ケアと療養の場所

緩和ケアは、がんと診断されたときから始まり、治療とともにいつでも受けられます(出典:「緩和ケア」)。つらさを和らげるのが目的で、治療をあきらめることとは違います。痛みやだるさ、気持ちの落ち込みも、相談してよい症状です。
受ける場は、通院、入院、在宅療養の3つ。白血病では輸血や感染への対応が必要になることが多いため、どこで療養するかは、必要な医療を受けられるかどうかも含めて考えます。希望は早めに主治医へ伝えましょう。緩和ケア病棟は、入院を待つ人がいる場合もあります。ご家族とも、早めに話し合っておきましょう。
主治医に確認しておきたい質問と、セカンドオピニオン

確認しておきたいのは、病型と遺伝子・染色体の検査結果、今の状態(寛解かどうか)、提案されている治療の目的、移植や分子標的薬の対象になるか、臨床試験を受けられるか、余命の説明がどんな前提に基づくのか、といった点です。
質問は紙に書いて持参すると、聞き漏らしを防げます。ご家族が同席すれば、あとで内容を確かめ合えるでしょう。別の医師の意見を聞くセカンドオピニオンも、遠慮する必要はありません。ただし急性白血病では、治療を止めずに並行して進めることが前提になります。迷ったときは、がん相談支援センターにも相談できます。
当協会に寄せられた白血病の相談事例と無料相談

一般社団法人日本がん難病サポート協会には、白血病で余命を告げられた方からのご相談も寄せられています。この章では、実際の相談事例と、無料相談で一緒に整理できることをご紹介します。
余命1年以内と告げられ化学療法を予定していた、55歳男性の相談事例

当協会に相談された55歳の男性は、急性骨髄性白血病と診断され、余命1年以内と告げられていました。化学療法を予定されていた方です。
相談を通じて選択肢を整理し、自然療法をメインに取り組まれた結果、1カ月で白血球数が正常値になり、3カ月で遺伝子の数値も改善したと伺っています。これは当協会に寄せられた個人の相談事例であり、同じ経過をたどることを保証するものではありません。
当協会は、標準治療をやめることを勧めるものでもありません。急性白血病は、すみやかな治療が重要とされる病気。治療の進め方は、必ず主治医と相談して決めてください。
ご家族だけの相談、匿名・オンラインでも相談できる

当協会の無料相談は、電話(平日9時〜18時)、メール(365日24時間受付)、オンラインや対面に対応しています。匿名でも可能で、ご本人が同席されないご家族だけのご相談も歓迎です。相談の方法は、ご都合に合わせて選べます。
白血病の治療は入院が長くなりやすく、ご本人が外出できない時期もあります。そんなときは、ご家族だけで、あるいはオンラインでご相談ください。当協会は医療機関ではなく、診断や治療は行いません。公的機関の情報をもとに考え方を整理し、主治医との対話を後押しすることが役割です。
末期がんのお母さまを支えていた50代の女性からは、「残された時間の過ごし方という重い話から逃げずに一緒に考えてもらえたことが支えになった」という声が届いています(当協会「ご相談者の声」より)。同じ立場の方の声は、次のページもあわせてご覧ください。
無料相談で一緒に整理できること

無料相談では、提示されている治療の選択肢の整理、次の診察で主治医に確認したい質問の書き出し、治療中の生活の工夫、これからの時間の過ごし方、ご家族との関わり方などをお話しいただけます。
統合医療や補完代替療法について気になる情報があれば、公的機関の情報をもとに見極め方を一緒に考えましょう。特定の商品や治療法の勧誘は行っていません。余命を告げられた直後は、気持ちの整理が追いつかないもの。一人で抱え込む前に、まずは一度お話しください。ご家族だけのご相談も歓迎しています。
【まとめ】 白血病は余命を告げられても、選択肢を整理すれば今できることが見えてくる

白血病は、血液をつくる細胞ががん化して起こる血液のがんです。急性白血病には「ステージ4」という分類がなく、病型と、治療で白血病細胞がどこまで減ったかで状態を表します。全国がん登録の2018年診断例では、白血病全体の5年相対生存率は50.5%でした。
急性白血病は進行が速いため、治療を先延ばしにしないことが何より大切。そのうえで、分子標的薬、造血幹細胞移植、輸血や感染対策などの支持療法、臨床試験といった選択肢があります。標準治療をサポートする形で統合医療を組み合わせる道も。まずは、主治医に確認したいことを整理するところから始めてみてください。
余命を告げられても、まずは無料相談でお話しください

白血病で余命を告げられた、化学療法以外にできることを知りたい、治療が効きにくいと言われて先が見えない、ご家族としてどう支えればいいかわからない。当協会には、そうした段階の方からのご相談が多く寄せられています。公的機関の情報をもとに、選択肢と主治医に確認したいことを一緒に整理し、主治医との対話を後押しします。
お電話でのご相談は 03-5657-0995(平日9時〜18時)。メールでのご相談は365日24時間受け付けています。ご家族だけのご相談も可能です。
ほかの部位の相談事例は「がんの部位別事例一覧」でも紹介しています。
よくある質問

急性骨髄性白血病で余命1年と言われました。化学療法以外にできることはありますか?

あります。分子標的薬、造血幹細胞移植、輸血や感染対策などの支持療法、緩和ケア、臨床試験が選択肢です。ただし急性白血病は進行が速く、すみやかな治療開始が重要とされています。主治医の治療を止めずに、並行して選択肢を確かめてください。統合医療は、標準治療をサポートする形で考えましょう。
詳しくは 化学療法以外の選択肢 を参照してください。
白血病のステージ4とは、どんな状態ですか?

急性白血病には、ほかのがんのような「ステージ4」という分類がありません。病型と、治療で白血病細胞がどこまで減ったか(寛解)で状態を表します。慢性骨髄性白血病は、慢性期・移行期・急性転化期という段階で考える病気。「ステージ4」と言われたときは、何を指しているのか主治医に確かめましょう。
詳しくは 白血病の状態の表し方 を参照してください。
白血病の末期には、どんな症状がありますか?

正常な血液がつくれなくなるため、強い貧血による息切れやだるさ、鼻血や歯ぐきからの出血、感染による発熱などが起こります。輸血や抗菌薬などの支持療法で、つらさを和らげることは可能です。緩和ケアは、診断されたときから受けられます。症状の変化は、早めに伝えてください。
詳しくは 貧血や出血、感染への支持療法 を参照してください。
白血病が進行するとどうなりますか?

急性白血病では、骨髄が白血病細胞で占められ、赤血球・血小板・白血球が減っていきます。貧血、出血、感染症が起こりやすくなり、血小板が大きく減ると、まれに脳内出血が起こる場合も。慢性骨髄性白血病は、慢性期から移行期、急性転化期へと進みます。進み方は病型で大きく違うのです。
詳しくは 急性白血病の進み方 を参照してください。
急性骨髄性白血病は、なぜ命に関わるのですか?

白血病細胞が骨髄で増え、正常な血液細胞がつくれなくなるためです。血小板が減ると出血しやすくなり、白血球が減ると感染症が重くなりやすい状態に。進行が速い病気なので、すみやかな治療開始が重要とされています。輸血や感染対策で体を支えながら、治療を進めていきます。体調の変化は、早めに伝えてください。
詳しくは 急性白血病の治療を急ぐ理由 を参照してください。
高齢でも白血病の治療は受けられますか?

受けられます。急性骨髄性白血病では、年齢や体の状態に応じて薬を選ぶのが基本です。造血幹細胞移植も、前処置を弱めた「ミニ移植」なら、高齢の方が対象になることも。ただし再発などのリスクは高くなる可能性があります。体力や持病をふまえて、どの治療が合うかを主治医と話し合ってください。
詳しくは ミニ移植という選択肢 を参照してください。
白血病は治る病気ですか?

病型や状態によって異なり、一律には言えません。急性白血病では、治療で完全寛解を目指し、その状態を保つことが目標です。造血幹細胞移植は、多くの場合、完治を目指して行われる治療とされています。見通しは人によって変わります。治る可能性をあきらめず、今の状態と治療の目標を主治医に確かめましょう。
詳しくは 寛解という考え方 を参照してください。
白血病の治療中、日常生活で気をつけることは?

感染しやすいため、手洗いやうがいをしっかり行い、けがをしないように注意しましょう。貧血があるときは、ふらつきによる転倒にも気をつけてください。出血したら、清潔なガーゼなどで血が止まるまで押さえます。発熱や出血が続くときは、次の受診を待たずに連絡することが大切です。
詳しくは 感染対策と生活の工夫 を参照してください。
家族が白血病で余命を告げられたら、家族にできることは何ですか?

まず本人の気持ちと希望を聞き、主治医の説明に同席して、病型や治療の目的を一緒に確認しましょう。感染を持ち込まないよう、家族も手洗いなどを心がけることが支えになります。家族自身の不安を一人で抱える必要はありません。当協会の無料相談などで、気持ちを話してみてください。
詳しくは 無料相談で整理できること を参照してください。
出典
本記事の医学的な事実と統計は、次の公的機関の一次情報に基づいています(2026年10月閲覧)。
- 国立がん研究センター がん情報サービス(病型別の解説)
- 白血病の分類(白血病とは・急性と慢性・骨髄性とリンパ性)
- 急性骨髄性白血病(発生の仕組み・急性前骨髄球性白血病・症状・進行の速さ・骨髄検査・染色体検査とがん遺伝子検査・治療・療養中の感染対策・臨床試験)
- 急性リンパ性白血病(中枢神経への広がり・フィラデルフィア染色体・症状・治療)
- 慢性骨髄性白血病(慢性期・移行期・急性転化期・フィラデルフィア染色体・症状・治療)
- 慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(進行の速さ・症状・検査・無治療経過観察・治療)
- 国立がん研究センター がん情報サービス(治療・症状・用語)
- 造血幹細胞移植(移植の位置づけ・入院期間・相談先)
- 造血幹細胞移植とは(移植前処置・自家移植と同種移植・フル移植とミニ移植・GVHD)
- 造血幹細胞移植の副作用・合併症(感染症の予防・輸血)
- 貧血(輸血・転倒への注意)
- 出血しやすい・血小板減少(血小板の輸血・出血時の対処・脳内出血)
- 感染症(免疫機能の低下と重症化)
- 緩和ケア(診断時からの緩和ケア・緩和ケアを受ける場・高額療養費制度)
- 用語集 寛解・寛解導入療法
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」
- 白血病(診断数2023年、死亡数2024年、5年相対生存率2018年診断例、相対生存率の定義)
- 全国がん登録生存率データ cancer_survivalNCR(2016-2018).xlsx(最新データ〈性別〉シート、白血病 C91-C95)
- 厚生労働省「統合医療」のあり方に関する検討会による統合医療の位置づけ(厚生労働省 eJIM、統合医療に関する日本の見解と意向)
| 本記事で示した数値 | 出典 |
|---|---|
| 診断数 15,165例(2023年)、死亡数 9,972人(2024年) | がん統計「白血病」 |
| 5年相対生存率 50.5%(男性50.0%、女性51.2%、対象12,918例、2018年診断例) | がん統計「白血病」、全国がん登録生存率データ(最新データ〈性別〉) |
| フル移植の対象の目安 通常50歳以下あるいは55歳以下 | 造血幹細胞移植とは |

