この記事でわかること

皮膚がんは末期・ステージ4と言われても、メラノーマでは免疫チェックポイント阻害薬などの治療が使え、転移への対処や緩和ケアもあります。種類別の症状・生存率・選択肢を公的機関の情報で確認できます。
- 皮膚がんの「末期」「ステージ4」がどの状態を指すのか
- メラノーマ・有棘細胞がん・基底細胞がんの違いと初期症状
- 全国がん登録の進行度別5年生存率と、余命の数字の読み方
- 手術・放射線治療・免疫チェックポイント阻害薬など治療の選択肢
- 脳や骨への転移への治療と、診療経験のある病院の探し方
- 当協会に寄せられた皮膚がんの相談事例と、無料相談で整理できること
皮膚がんは末期・ステージ4と言われても、できることがある

「皮膚がんが進行して、末期と言われた」「メラノーマの余命はどのくらいなのか」。この章では、皮膚がんの末期やステージ4がどの状態を指すのかを公的機関の情報で整理し、この記事で扱う範囲を示します。進行した段階でも、治療とケアの選択肢は残っています。
皮膚がんの「末期」「ステージ4」とは、どの状態を指すのか

皮膚がんは、皮膚にできる悪性腫瘍の総称で、基底細胞がん、有棘細胞がん、メラノーマ(悪性黒色腫)などの種類があります。メラノーマの進行度は、病変の厚さ、潰瘍の有無、リンパ節や他の臓器への転移の有無などで判断されます(出典:「悪性黒色腫(メラノーマ)」)。
一般にステージ4は、がんが離れた臓器に転移した状態を指します。医学的に「末期」という区分はなく、ステージ4でも薬物療法などの治療の対象になります。
まずは自分の種類とステージを確認しましょう。種類によって治療が大きく異なるためです。
この記事でわかる範囲と、情報の時点

この記事では、皮膚がんの原因から初期症状、主な種類の違い、ステージ別の5年生存率、検査、治療法、そして末期・ステージ4と言われたときの選択肢までを、一覧で把握できるようにまとめています。医学的な事実は国立がん研究センターのがん情報サービスと希少がんセンター、全国がん登録のデータを根拠にし、当協会の立場からの情報とは分けて書いています。
皮膚がんは種類によって性質や治療が大きく異なるため、メラノーマ、有棘細胞がん、基底細胞がんを分けて説明する構成です。生存率は過去の診断例の数値なので、目安として読んでください。
転移があっても、選択肢の整理はこれから始められる

「末期」「ステージ4」と告げられると、もう治療の手立てがないように感じてしまう方は少なくありません。しかしメラノーマでは、免疫の力を利用する免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬が使えるようになり、手術や放射線治療を組み合わせた治療が行われています。脳や骨への転移に対する放射線治療も選択肢です。
標準治療をサポートする形で統合医療を組み合わせるという考え方もあります。大切なのは、選択肢を整理して主治医に確認することです。当協会ではその整理を無料で一緒に行っています。
皮膚がんの原因と、なりやすい人の特徴

皮膚がんには、紫外線をはじめ、発生に関わると考えられている要因がいくつかあります。この章では、種類ごとにわかっている要因と、日本人の皮膚がんの特徴を整理します。
紫外線が、皮膚がんの発生要因の一つと考えられている

有棘細胞がんは顔や頭皮など日光にあたる部分にできることが多いため、紫外線が発生要因の1つと考えられています(出典:「有棘細胞がん」)。そのほか、やけどのあとや放射線、化学物質、ウイルスなども関係しているといわれています。
基底細胞がんも、紫外線や放射線などが関係していると考えられ、顔に発生することが多いがんです。屋外で過ごす時間が長かった方や、やけどのあとがある方は、皮膚の変化に気を配っておくと安心です。日焼けしやすい場所にできた治りにくい変化には、とくに注意しておきましょう。
日本人には少なく、人種によってかかりやすさが異なる

皮膚がんには人種によるかかりやすさの差があります(出典:「皮膚がん」)。白人では日光によくあたる部位に、悪性黒色腫、有棘細胞がん、基底細胞がんの3大皮膚がんができやすく、決して少ないがんではありません。メラノーマは、オーストラリアやハワイなど紫外線の強い地域に住む白人には、日本人の何十倍もの頻度で発生するとされています。
一方、日本人の皮膚がんの患者数は、がん全体の上位10位にも入りません。皮膚がんは、日本人にとっては人種差による希少がんという側面ももっています。
皮膚がんの初期症状と、見分け方のポイント

皮膚がんは皮膚の表面にあらわれるため、目で見て気づきやすいがんです。この章では、メラノーマ、基底細胞がん、有棘細胞がんそれぞれの初期症状の特徴を整理します。
メラノーマは、ほくろとの見分けが大切

メラノーマの多くは褐色から黒色のシミ(色素斑)や腫瘤として皮膚の表面にあらわれます(出典:「メラノーマ(悪性黒色腫)」)。一般的に、形が左右非対称、輪郭がギザギザしている、色むらがある、大きさが6mm以上ある、大きくなったり色や形、かたさが変化したりする、という特徴があります。
まれに色素の少ない赤色調の病変もあり、診断が難しいことがあります。気になるほくろやしみがあれば、早めに皮膚科を受診しましょう。メラノーマが疑われた場合には、拡大鏡を使ったダーモスコピー検査で詳しく調べます。
基底細胞がんは、黒い点が集まって広がる

基底細胞がんの多くは、わずかに盛り上がった直径1〜2mm程度の黒い点として皮膚の表面にあらわれます(出典:「基底細胞がん」)。次第に数個の黒い点が集まって円や楕円の形に広がり、さらに進行すると中央がへこんで潰瘍になります。
日本人では黒色の病変として見られることがほとんどで、多くは高齢者のまぶたや鼻など顔に発生します。治りにくい黒い点が顔にあれば、皮膚科で相談してください。まれに色素を持たない赤みのある病変として見られることもあり、体の表面のどこにでも発生する可能性があります。
有棘細胞がんは、治りにくいただれやしこりに注意

有棘細胞がんは一般的に、通常の肌の色か紅色に変化し、皮膚の表面がかさついて硬くなり、まだらに少し盛り上がったり、しこりができたりします。ただれや潰瘍ができることもあり、進行すると腫瘍から体液が染み出したり、悪臭を伴ったりすることもあります。
治りにくいびらんや潰瘍、出血しやすい紅色の結節、硬い角化性の結節は、有棘細胞がんを疑う目安です。湿疹だと思って長く様子を見ず、皮膚科を受診しましょう。皮膚の表面にできるため気が付きやすく、早めに専門医を受診することが大切です。
皮膚がんの種類と、それぞれの性質

皮膚がんといっても、その種類は多く、どの細胞から生じたかによって性質や治療が異なります。この章では、皮膚がん全体の分類と、主な3つの種類の特徴を整理します。
皮膚がんは、皮膚にできる悪性腫瘍の総称

皮膚がんは、皮膚にできる悪性腫瘍の総称です(出典:「皮膚がんの分類」)。中でも基底細胞がん、有棘細胞がん、メラノーマ(悪性黒色腫)が多くみられます。
そのほかに、乳房外パジェット病、メルケル細胞がん、汗腺がんや脂腺がんなどの皮膚付属器がん、皮膚血管肉腫、隆起性皮膚線維肉腫があります。皮膚のリンパ腫は悪性リンパ腫の1つで、通常の皮膚がんとは区別される病気です。
種類によって治療が異なるため、診断名を確認しましょう。皮膚をつくるどの細胞から生まれたがんも皮膚がんと呼ばれるため、種類は非常に多くなります。
基底細胞がんは最も多く、転移はきわめてまれ

基底細胞がんは表皮の基底細胞や毛包を構成する細胞から発生する皮膚がんで、皮膚がんの中で最も発生数が多いがんです(出典:「基底細胞がん」)。日本人の皮膚がんの中でも最も多く、希少がんには含まれません。
はっきりした原因は不明ですが、紫外線や外傷、放射線、やけどのあとが発症の原因となることがあります。大きくなると中央が潰瘍になり、周囲の正常な組織を壊しながら進行することがありますが、転移を起こすことはきわめてまれです。顔にできることが多いため、見た目への影響も考えて治療を選びます。
有棘細胞がんは、基底細胞がんに次いで多い

有棘細胞がんは表皮の有棘層の細胞ががん化する皮膚がんで、基底細胞がんに次いで発生頻度の高い皮膚がんです(出典:「有棘細胞がん」)。皮膚扁平上皮がんとも呼ばれます。以前は広い範囲のやけどのあとや、放射線照射後の慢性皮膚炎から発生するものが多かったのですが、近年増えているのは、紫外線の影響を受けた頭皮や顔の皮膚に発生するものです。
早めに専門医を受診して診断がつけば、90%は手術だけで治癒が期待できるとされています。その他に、慢性的な炎症やウイルス、放射線なども関与していることがわかっています。
メラノーマ(悪性黒色腫)は、日本人では希少ながん

メラノーマは、メラニン色素をつくるメラノサイトという皮膚の細胞が悪性化してできるがんです。日本人では10万人あたり1〜2人とされる希少がんで、1年間に皮膚のメラノーマと診断されるのは約1,800例です。
見た目の特徴から、悪性黒子型、表在拡大型、結節型、末端黒子型の4つに分けられてきました。鼻や口などの粘膜、消化管、眼にできるメラノーマもあります。
近年は紫外線を浴びた程度などで分ける分類法も用いられていますが、基本的に治療法に大きな差はありません。気になる色素斑は、早めに皮膚科で相談しましょう。
ステージ別の状態と、5年生存率・余命の目安

「末期と言われたけれど、あとどのくらい生きられるのか」。この章では、ステージの考え方と、全国がん登録の進行度別5年生存率、数字の読み方を整理します。
ステージは、がんの厚さや広がり、転移の有無で決まる

皮膚がんのステージを決めるのは、種類ごとの分類にもとづく、がんの大きさや厚さ、深さ、リンパ節への転移、離れた臓器への転移の有無の組み合わせです。メラノーマでは、病変の厚さ、潰瘍の有無、所属リンパ節や他の臓器への転移の有無などにより進行度を判断し、それによって治療法が異なります。
がんは、皮膚にとどまる段階から、近くのリンパ節に広がる段階、離れた臓器に転移する段階へと進み、離れた臓器への転移がある状態がステージ4にあたります。診断名とステージは、紙に書いてもらうと安心です。
全国がん登録にみる、皮膚がんの5年相対生存率

| 進行度(2018年診断例) | 5年相対生存率 | 診断時の割合 |
|---|---|---|
| 限局(皮膚にとどまる) | 98.2% | 84.3% |
| 領域(近くのリンパ節や周りの組織に広がる) | 68.3% | 8.7% |
| 遠隔(離れた臓器に転移) | 19.8% | 1.3% |
| 全体 | 94.0% | ― |
全国がん登録では、2018年に診断された皮膚がん全体の5年相対生存率は94.0%です(出典:「がん統計 皮膚」)。進行度別では、がんが皮膚にとどまる「限局」が98.2%、近くのリンパ節などに広がった「領域」が68.3%、離れた臓器に転移した「遠隔」が19.8%でした。
診断時に限局だった人が84.3%を占め、多くは早い段階で見つかっています。この数値は、メラノーマや有棘細胞がん、基底細胞がんなどを合わせた皮膚がん全体のものです。ステージではなく、がんの広がりで分けた「進行度」の数値である点にも注意が必要です。
生存率の数字の読み方と、余命が数字どおりにならない理由

5年相対生存率は、あるがんと診断された場合に、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標の一つです。過去に診断された人の集団の数値であり、その後に使えるようになった新しい薬の効果は十分に反映されていません。
また、遠隔の皮膚がんは266例と少なく、種類による違いもこの数値には表れません。メラノーマだけの進行度別の数値は、公的機関の一次情報で確認できたものがないため、この記事では示していません。余命は種類やステージ、体の状態で変わるため、主治医に確認しましょう。
進行の仕方と、転移・再発の特徴

皮膚がんは、種類によって転移のしやすさが大きく異なります。この章では、種類ごとの進み方と、再発に気づくための経過観察を整理します。
基底細胞がんは周りの組織に広がるが、転移はきわめてまれ

基底細胞がんは、大きくなると中央が潰瘍になり、周囲の正常な組織を壊しながら進行することがあります。一方で、リンパ節や離れた臓器に転移することはきわめてまれです。大部分が顔に発生するため、切除後には、見た目を損なわないように植皮や局所皮弁による再建術を行うことがあります。
局所で進行した病変や転移をきたした例に対しては、きわめてまれに抗がん剤による治療が行われることがあります。治療は、早めに始めるに越したことはありません。顔の変化に気づいたら、早めに皮膚科で相談しましょう。
有棘細胞がんは、リンパ節から転移することがある

有棘細胞がんの多くは手術で取り除くことができますが、病変の大きさや深部への広がりによっては、近くのリンパ節に転移している可能性があります。その場合に行うことがあるのが、所属リンパ節への転移の有無を調べるセンチネルリンパ節生検です。
転移をきたす例はまれですが、手術ができないほど進行した場合や、離れた臓器に転移した場合には、化学療法などを検討します。皮膚に新しいしこりができたり、リンパ節が腫れたりしたら、早めに伝えましょう。明らかな所属リンパ節転移がある場合は、リンパ節郭清もあわせて行います。
メラノーマは、リンパ節や離れた臓器に転移することがある

メラノーマは悪性度が高いことで知られ、がんが進むと近くのリンパ節や、離れた臓器に転移することがあります。所属リンパ節への転移が明らかでない場合にはセンチネルリンパ節生検を、明らかな場合にはリンパ節郭清術を行います。臓器に転移した場合の治療は、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬が主体です。
脳や骨への転移に対しても、放射線治療などの対処法があります。転移があっても、治療の選択肢がなくなるわけではありません。転移した場所や数によって、治療の組み合わせが変わります。
がんが転移したと告げられたときの考え方や治療の選択は、次の記事でも整理しています。
治療後は定期的な経過観察で、再発に早く気づく

基底細胞がんでは、初回の手術で病変の取り残しがないことが確認できれば、その後は定期的な経過観察を行います。皮膚がんは皮膚の表面にできるため、手術のあとや周りの皮膚の変化に、自分でも気づきやすいがんです。入浴のときなどに、傷あとの周りに新しいしこりや色の変化がないか、リンパ節が腫れていないかを確認しておくと安心です。
気になる変化があれば、次の診察を待たずに連絡してください。再発への不安も、一人で抱えず相談しましょう。経過観察の間隔や受診の目安は、主治医に確認しておきましょう。
再発を告げられたときの治療の選択については、次の記事でも整理しています。
皮膚がんの検査方法

皮膚がんが疑われたときは、まず皮膚の状態を詳しく観察し、必要に応じて組織を調べて診断を確定します。この章では、主な検査の流れを整理します。
ダーモスコピー検査で、皮膚の状態を詳しく見る

メラノーマや基底細胞がんが疑われた場合には、ダーモスコピー検査が行われます。ダーモスコープというライトがついた拡大鏡を使い、病変部を10〜20倍程度に拡大して詳しく観察する検査です。
目で診察した場合より、悪性かどうかがよく分かります。基底細胞がんは、典型的な所見があれば生検を行わずに診断できることもあり、ダーモスコピーによる診断の精度は非常に高いことが証明されています。
皮膚の表面から観察する検査です。診断が難しい場合は、皮膚の生検で確定診断を行います。結果の説明もあわせて受けましょう。
皮膚の生検で、診断を確定する

ダーモスコピー検査でも診断が難しい場合や、がんかどうか正確に診断する必要がある場合には、皮膚の生検を行います。生検は、病変の一部などを取り、顕微鏡で詳しく調べる病理組織診断のための検査です。有棘細胞がんは、見た目の所見から疑われた場合に生検を行い、病理組織診断によって確定診断を行います。
生検の結果で、がんの種類や性質がわかり、治療方針を決める手がかりになります。結果が出るまでの期間も確認しておきましょう。メラノーマでも、がんかどうか正確に診断するために皮膚の生検を行うことがあります。
リンパ節や離れた臓器への転移を調べる検査

がんの広がりを調べるために、リンパ節や離れた臓器への転移の有無を確認します。メラノーマや有棘細胞がんでは、所属リンパ節への転移が明らかでない場合に、センチネルリンパ節生検を行うことがあります。センチネルリンパ節は、がんの転移が最初に起こるリンパ節です。このリンパ節を調べることで、リンパ節への転移の有無を判断します。
必要に応じて画像検査も行い、ステージと治療方針を決めます。どの検査で何を調べるのか、主治医に確認しましょう。検査の結果は、手術の範囲や薬物療法の必要性を判断する材料になります。
皮膚がんの治療方法と費用感

皮膚がんの治療は、手術が基本です。この章では、種類ごとの手術の考え方、リンパ節への対応、放射線治療、メラノーマの薬物療法、費用、標準治療に統合医療を組み合わせる考え方を整理します。
手術で、病変から少し離して切除するのが基本

皮膚がんの手術では、がんを取り残さないよう、病変の縁から少し離して切除します。目安は、基底細胞がんで3〜5mm、有棘細胞がんやメラノーマで0.5〜2cm程度です。切除した後の皮膚の欠損が大きく、縫い閉じることが難しい場合には、植皮や局所皮弁による再建術を行うことがあります。
基底細胞がんは大部分が顔に発生するため、見た目を損なわない再建が大切になります。初回の手術で取り残しがないことを確かめることが大切です。手術の範囲と傷あとについて、事前に確認しておきましょう。
センチネルリンパ節生検とリンパ節郭清

メラノーマや有棘細胞がんでは、原発巣の手術にあわせて、リンパ節への対応を行うことがあります。所属リンパ節への転移が明らかでない場合はセンチネルリンパ節生検を行い、転移が明らかな場合はリンパ節郭清術を行います。
メラノーマで臓器への転移がない場合の治療は、手術による切除とリンパ節への対応に、手術後の再発を防ぐための術後補助療法を加えたものです。リンパ節郭清のあとは、手足のむくみが起こることがあるため、注意点を確認しておきましょう。術後補助療法の内容や期間も、主治医に確認しておきましょう。
放射線治療は、手術が難しい場合などに選ばれる

基底細胞がんや有棘細胞がんでは、切除が難しい場所にできた場合や、年齢や持病で手術が難しい場合に、放射線治療を選ぶことがあります。手術に比べると根治性は劣るものの、有棘細胞がんでは比較的高い効果があることが示されています。
根治切除が難しい有棘細胞がんには、抗がん剤と放射線治療を同時に行う放射線化学療法も選択肢です。メラノーマは一般に放射線治療が効きにくいとされてきましたが、免疫チェックポイント阻害薬との併用による上乗せ効果が期待されています。治療の目的と回数を確認しておきましょう。
メラノーマの薬物療法、免疫チェックポイント阻害薬と分子標的薬

手術で完全に取りきることが難しい場合や、臓器に転移がある場合のメラノーマでは、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬による薬物療法が治療の中心になります。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫ががん細胞を攻撃する力を保つ薬で、メラノーマは保険診療で治療が行えるがんの一つです(出典:「免疫療法 もっと詳しく」)。
日本でも海外とほぼ同等にこれらの薬を使えるようになっています。どの薬が使えるかは、がんの状態などによって異なるため、担当医に確認しましょう。治療の目的と副作用もあわせて聞いておきましょう。
治療費は保険診療が基本、高額療養費制度で自己負担に上限がある

皮膚がんの手術、放射線治療、免疫チェックポイント阻害薬などの効果が証明された治療は、保険診療で受けることができます。医療費が一定額以上になった場合は、高額療養費制度を利用して、自己負担限度額までの支払いとすることが可能です。
一方、がん情報サービスは、自由診療として行われる免疫療法について、効果が証明されておらず、治療費は全額自己負担になるため、治療効果や安全性、費用について慎重な確認が必要だとしています。費用の不安は、病院のソーシャルワーカーやがん相談支援センターにも相談できます。支払いの見通しを早めに立てておくと安心です。
統合医療・自然療法を組み合わせるという選択肢

統合医療は、厚生労働省の検討会で「近代西洋医学を前提として、これに補完代替療法や伝統医学等を組み合わせて更にQOLを向上させる医療」と位置づけられています。標準治療をサポートする形で、食事の改善、運動、温熱療法、心のケアなどを組み合わせる考え方です。
補完代替療法の多くは自由診療で、自己負担が増えることがあります。治療中の体力や気持ちを支えるために、生活を整える工夫を取り入れる方も少なくありません。取り入れるものは必ず主治医に伝え、根拠と費用を確認して選んでください。
当協会は、この定義に基づき、標準治療をサポートする形で信頼性の高い補完代替療法の情報を整理・提供している一般社団法人です。医師や大学教授が理事を務め、特定の商品や治療法を勧めることはありません。協会が紹介している療法の分類は、次のページで確認できます。
末期・ステージ4と言われたときの選択肢

「皮膚がんが進行して末期と言われた。どんな治療や選択肢があるのか」。この章では、その問いに沿って、種類ごとの進行期の治療、転移への対処、病院や臨床試験の探し方、副作用、療養の場所、主治医への確認事項を順に整理します。
メラノーマのステージ4は、薬物療法を主体にした集学的治療が行われる

臓器に転移があるメラノーマでは、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬などの薬物療法を主体とし、外科治療や放射線治療を加えた集学的治療が行われます。メラノーマの薬物療法は40年近く進歩がありませんでしたが、2011年以降に海外で新薬の開発が相次ぎ、日本でも専門家の努力によってドラッグラグが解消されてきました。
ステージ4と言われても、使える治療は以前より広がっています。治療の目的と効果の見通しを主治医に確認しましょう。どの治療を組み合わせるかは、転移の場所や体の状態で変わります。
余命1年と告げられ、諦めるしかないと思っていた60代の男性は、当協会の相談で「この状況でもまだやれることがたくさんある」と助言を受け、専門家に最後まで継続的に支えてもらえたと話しています(当協会「ご相談者の声」より)。
有棘細胞がん・基底細胞がんが進行した場合の治療

有棘細胞がんで手術ができないほど進行した場合や、離れた臓器に転移した場合には、化学療法が行われます。根治切除が難しい場合には、抗がん剤と放射線治療を同時に行う放射線化学療法も選択肢です。
ただし、転移をきたす例がまれなため新しい抗がん剤の開発が遅れており、治療できる病院は限られています。基底細胞がんで局所進行や転移をきたした例には、きわめてまれに抗がん剤による治療が行われます。
臨床試験を含め、診療経験のある病院で相談することが大切です。治療の目的を主治医と共有しておきましょう。
脳や骨への転移に対する放射線治療

メラノーマは一般に放射線治療が効きにくいとされていますが、脳転移に対する定位放射線治療(ガンマナイフやサイバーナイフなど)は効果的とされています。希少がんセンターによると、通常の放射線治療に比べて、予後が半年以上延長することが示されています。
骨転移に対しても、痛みを軽くする効果は、ほかのいろいろながんと同じくらいです。転移による頭痛や手足の動かしにくさ、骨の痛みなどがあれば、我慢せず主治医に伝えましょう。痛みや症状を和らげ、生活の質を保つことも放射線治療の大切な目的です。
希少がんだからこそ、診療経験のある病院と臨床試験を探す

メラノーマや進行した有棘細胞がんは、治療経験のある医師や病院が限られる希少がんです。がん情報サービスでは、全国数カ所の病院に設置されている希少がんホットラインや、がん診療連携拠点病院などのがん相談支援センターを紹介しています。
がん相談支援センターでは、相談員が診療経験のある病院を探す手伝いもしてくれます。国内で行われている臨床試験も検索できますが、必ず参加できるとは限らないため、参加を考えたいときは担当医に相談しましょう。病院を探したいときは、こうした窓口を気軽に活用してください。
免疫チェックポイント阻害薬の副作用と、体調の変化への気づき

免疫チェックポイント阻害薬は、従来の化学療法で起こるような吐き気や脱毛などの副作用は少ないと報告されていますが、全身にさまざまな副作用が起こる可能性があります。治療が終わってから数週間から数カ月後に起こるものもあり、いつもと違う症状を感じたら、医師や薬剤師、看護師にすぐ相談することが大切です。
副作用の症状は、家族とも一緒に確認しておくと、体調の変化に気づいてもらいやすくなります。副作用を抑えるために、ステロイド剤や免疫反応を抑える免疫抑制剤を使うこともあります。
薬物療法の副作用との付き合い方は、次の記事も参考にしてください。
緩和ケアと療養の場所(在宅緩和ケア・緩和ケア病棟)

緩和ケアは、がんと診断されたときから始まり、がんの治療とともに、つらさを感じるときにはいつでも受けることができます(出典:「緩和ケア」)。緩和ケアは、がんが進行してから始めるものではなく、担当の医師や看護師に加え、必要に応じて緩和ケアチームが支えてくれます。
緩和ケアを受ける場は、通院、入院、在宅療養の3つに分けられます。緩和ケア病棟は、できる限り日常生活に近い暮らしができるように作られた病棟で、つらさが和らいだら退院して自宅に帰ることも可能です。入院を待つ人がいる場合もあるため、早めに担当医に相談しましょう。
主治医に確認しておきたい質問と、セカンドオピニオン

整理しておきたいのは、皮膚がんの種類とステージ、使える薬物療法と期待できる効果、副作用と生活への影響、転移した場所への治療、臨床試験を受けられるか、緩和ケアをいつから受けられるか、といった点です。皮膚がんは種類によって治療が大きく異なり、進行した場合は治療経験のある病院が限られます。
担当医の意見を別の角度から聞きたいときには、セカンドオピニオンを受けることもできます。質問を紙に書いて持参すると安心です。がん情報サービスも、効果が証明されていない免疫療法を考える場合などに、セカンドオピニオンを聞くことを勧めています。
当協会に寄せられた皮膚がんの相談事例と無料相談

一般社団法人日本がん難病サポート協会には、皮膚がんと診断された方からのご相談も寄せられています。この章では、実際の相談事例と、無料相談で一緒に整理できることをご紹介します。
手術ができず化学療法を予定していた、有棘細胞がんの32歳女性の相談事例

当協会に相談された32歳の女性は、ステージ2の有棘細胞がんと診断され、手術ができない状態で、化学療法を予定していました。相談を通じて選択肢を整理し、自然療法をメインに取り組まれた結果、6カ月が経過したころに塊だった腫瘍がばらばらになり、その後すべて消失したと伺っています。これは当協会に寄せられた個人の相談事例であり、同じ経過をたどることを保証するものではありません。
当協会は標準治療をやめることを勧めるものではありません。皮膚がんは種類や段階によって状況が大きく異なるため、お一人おひとりの状況に合わせてお話を伺っています。
ご家族だけの相談、匿名・オンラインでも相談できる

当協会の無料相談は、電話(平日9時〜18時)、メール(365日24時間受付)、オンラインや対面に対応しています。匿名でも可能で、ご本人が同席されないご家族だけのご相談も歓迎しています。皮膚がんは見た目に関わる悩みもあり、身近な人にも話しにくいと感じる方が少なくありません。
「何から考えればいいかわからない」という状態のままで構いません。当協会は医療機関ではなく、診断や治療は行いません。公的機関の情報をもとに考え方を整理し、主治医との対話を後押しすることが役割です。
末期がんのお母さまを支えていた50代の女性からは、「残された時間の過ごし方という重い話から逃げずに一緒に考えてもらえたことが支えになった」という声が届いています(当協会「ご相談者の声」より)。同じ立場の方の声は、次のページでも紹介しています。
無料相談で一緒に整理できること

無料相談では、提示されている治療の選択肢の整理、次の診察で主治医に確認したい質問の書き出し、副作用や痛みとの付き合い方、これからの時間の過ごし方、ご家族との関わり方などをお話しいただけます。統合医療や補完代替療法について気になる情報があれば、公的機関の情報をもとに見極め方を一緒に考えます。特定の商品や治療法の勧誘は行っていません。
皮膚がんは種類によって治療が大きく異なるがんです。一人で抱え込む前に、まずは一度お話しください。ご家族だけのご相談も歓迎しています。
【まとめ】 皮膚がんは末期・ステージ4でも、種類に合った選択肢を整理すれば今できることが見えてくる

皮膚がんは、基底細胞がん、有棘細胞がん、メラノーマなど、種類によって性質や治療が大きく異なるがんです。全国がん登録の2018年診断例では、皮膚がん全体の5年相対生存率は94.0%、離れた臓器に転移した「遠隔」では19.8%です。メラノーマのステージ4でも、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬を主体に、手術や放射線治療を組み合わせた治療が行われ、脳や骨への転移にも対処法があります。
緩和ケアを受けられるのは、診断されたときからです。標準治療をサポートする形で統合医療を組み合わせる道もあります。まずは主治医に確認したいことを整理するところから始めてみてください。
末期と言われても、まずは無料相談でお話しください

皮膚がんが進行して末期と言われた、メラノーマの余命のことが頭から離れない、治療の選択肢を決めきれない、ご家族としてどう支えればいいかわからない。当協会には、そうした段階の方からのご相談が多く寄せられています。公的機関の情報をもとに、選択肢と主治医に確認したいことを一緒に整理し、主治医との対話を後押しします。
お電話でのご相談は 03-5657-0995(平日9時〜18時)。メールでのご相談は365日24時間受け付けています。ご家族だけのご相談も可能です。
ほかの部位の相談事例は「がんの部位別事例一覧」でも紹介しています。
よくある質問

皮膚がんが進行して末期と言われました。どんな治療や選択肢がありますか?

種類によって異なります。メラノーマで臓器に転移がある場合は、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬を主体に、手術や放射線治療を組み合わせます。有棘細胞がんでは、化学療法や放射線化学療法が検討の対象です。脳や骨の転移への放射線治療、緩和ケア、臨床試験も選択肢です。主治医と整理しましょう。
詳しくは ステージ4のメラノーマの治療 を参照してください。
悪性黒色腫(メラノーマ)は何年くらい生きられますか?

余命を一律に示す公的な数値はありません。全国がん登録の2018年診断例では、メラノーマを含む皮膚がん全体の5年相対生存率は94.0%、離れた臓器に転移した「遠隔」では19.8%です。過去の平均であり、新しい薬の効果は十分に反映されていません。見通しは主治医に確認しましょう。
詳しくは 生存率の数字の読み方 を参照してください。
悪性黒色腫は皮膚がんですか?

はい。メラノーマ(悪性黒色腫)は皮膚がんの一種で、メラニン色素をつくるメラノサイトという細胞が悪性化してできるがんです。ただし皮膚だけでなく、鼻や口などの粘膜、消化管、眼にできることもあります。日本人では10万人あたり1〜2人とされる希少がんです。皮膚がんの中では、基底細胞がん、有棘細胞がんとともに多くみられる種類です。
詳しくは メラノーマの特徴 を参照してください。
皮膚がんステージ3の生存率はどのくらいですか?

全国がん登録には「ステージ3」そのものの数値はありませんが、がんが近くのリンパ節などに広がった「領域」の皮膚がんの5年相対生存率は68.3%です(2018年診断例)。メラノーマや有棘細胞がんなどを合わせた数値で、種類や体の状態によって経過は変わります。見通しは主治医に確認しましょう。
詳しくは 皮膚がんの5年相対生存率 を参照してください。
皮膚がん(皮膚癌)の原因は何ですか?

種類によって異なります。有棘細胞がんは紫外線が発生要因の1つとされ、やけどのあとや放射線、化学物質、ウイルスも関係するといわれています。基底細胞がんも、紫外線や放射線などが関係すると考えられているがんです。メラノーマは人種差が大きく、紫外線の強い地域の白人に多いがんです。
詳しくは 皮膚がんの原因 を参照してください。
悪性黒色腫の手術費用はどのくらいですか?

手術の内容や入院期間、リンパ節への対応の有無などで変わるため、一律の金額はありません。手術や免疫チェックポイント阻害薬などの治療は保険診療で受けられ、医療費が一定額を超えた場合は高額療養費制度で自己負担に上限があります。具体的な見込みは病院の窓口やソーシャルワーカーに確認しましょう。
詳しくは 治療費と高額療養費制度 を参照してください。
ほくろとメラノーマはどう見分けますか?

メラノーマには、形が左右非対称、輪郭がギザギザしている、色むらがある、大きさが6mm以上、大きさや色・形・かたさが変化する、という特徴があります。ただし自分での判断は難しいため、気になるほくろは皮膚科でダーモスコピー検査を受けて確認しましょう。まれに色素の少ない赤みのあるタイプもあります。
詳しくは メラノーマとほくろの見分け方 を参照してください。
有棘細胞がんは手術で治りますか?

希少がんセンターによると、早めに専門医を受診して診断がつけば、90%は手術だけで治癒が期待できるとされています。病変の縁から0.5〜2cm程度離して切除するのが一般的です。手術が難しい場合は放射線治療を選ぶこともあり、進行例には化学療法も検討されます。まずは早めの受診が大切です。
詳しくは 有棘細胞がんの特徴 を参照してください。
家族が皮膚がんの末期と言われたら、家族にできることは何ですか?

まず本人の気持ちと希望を聞き、主治医の説明に同席して、治療の目的や選択肢を一緒に確認することです。免疫チェックポイント阻害薬の副作用は時間がたってから出ることもあるため、体調の変化に気を配りましょう。家族自身の不安も一人で抱えず、当協会の無料相談などで話してください。
詳しくは 無料相談で整理できること を参照してください。
出典
本記事の医学的な事実と統計は、次の公的機関の一次情報に基づいています(2026年10月閲覧)。
- 国立がん研究センター がん情報サービス
- 皮膚がんの分類(皮膚がんの定義・主な種類・皮膚のリンパ腫)
- メラノーマ(悪性黒色腫)(メラノーマの特徴・症状・ダーモスコピー検査・生検・年間の診断数)
- 基底細胞がん(発生する細胞・発生要因・症状・検査)
- 有棘細胞がん(発生要因・症状・生検・皮膚扁平上皮がん)
- 免疫療法 もっと詳しく(免疫チェックポイント阻害薬・自由診療として行われる免疫療法・副作用)
- 緩和ケア(診断時からの緩和ケア・緩和ケアを受ける場・緩和ケア病棟・高額療養費制度)
- 国立がん研究センター 希少がんセンター「さまざまな希少がんの解説」
- 皮膚がん(皮膚がんの分類・人種による差・メラノーマの放射線治療と薬物療法)
- 悪性黒色腫(メラノーマ)(頻度・病型・進行度・手術・センチネルリンパ節生検・薬物療法・脳転移と骨転移への放射線治療)
- 基底細胞がん(発生頻度・転移・診断・手術・放射線治療・経過観察)
- 有棘細胞がん(発生頻度・診断・手術・センチネルリンパ節生検・放射線化学療法・化学療法)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」
- 皮膚(診断数2023年、死亡数2024年、5年相対生存率2018年診断例、相対生存率の定義)
- 全国がん登録生存率データ cancer_survivalNCR(2016-2018).xlsx(最新データ〈進行度別〉シート、皮膚 C43-C44)
- 厚生労働省「統合医療」のあり方に関する検討会による統合医療の位置づけ(厚生労働省 eJIM、統合医療に関する日本の見解と意向)
| 本記事で示した数値 | 出典 |
|---|---|
| 5年相対生存率 全体94.0%、限局98.2%、領域68.3%、遠隔19.8%(2018年診断例) | 全国がん登録生存率データ(最新データ〈進行度別〉) |
| 診断時の進行度の割合 限局84.3%、領域8.7%、遠隔1.3%、遠隔の例数266例(2018年診断例) | 同上 |
| 皮膚のメラノーマの年間診断数 約1,800例 | がん情報サービス「メラノーマ(悪性黒色腫)」 |
| メラノーマの頻度 日本人10万人あたり1〜2人 | 希少がんセンター「悪性黒色腫(メラノーマ)」 |
| 切除範囲の目安(基底細胞がん3〜5mm、有棘細胞がん・メラノーマ0.5〜2cm程度) | 希少がんセンター「基底細胞がん」「有棘細胞がん」「悪性黒色腫(メラノーマ)」 |
| 有棘細胞がんは早めに診断がつけば90%は手術だけで治癒が期待できる | 希少がんセンター「有棘細胞がん」 |
| 脳転移への定位放射線治療で予後が半年以上延長 | 希少がんセンター「悪性黒色腫(メラノーマ)」 |
| ダーモスコピー検査の拡大倍率 10〜20倍程度 | がん情報サービス「メラノーマ(悪性黒色腫)」「基底細胞がん」 |

