この記事でわかること

子宮頸がんはステージ4と言われても、ⅣA期は同時化学放射線療法、ⅣB期は薬物療法が行われ、出血や痛みを和らげる治療や緩和ケアもあります。余命・症状・選択肢を公的機関の情報で確認できます。
- 子宮頸がんの「末期」「ステージ4(ⅣA期・ⅣB期)」がどの状態を指すのか
- HPV感染などの原因と、初期症状・進行したときの症状
- 全国がん登録の進行度別5年生存率と、余命の数字の読み方
- 手術・放射線治療・同時化学放射線療法・薬物療法など治療の選択肢
- 標準治療以外にできること(緩和ケア・臨床試験・統合医療)の考え方
- 当協会の無料相談で一緒に整理できること
子宮頸がんは末期・ステージ4と言われても、できることがある

「子宮頸がんのステージ4と言われた」「余命はどのくらいなのか」。この章では、ステージ4や末期がどの状態を指すのかを公的機関の情報で整理し、この記事で扱う範囲を示します。ステージ4と言われた段階でも、治療とケアの選択肢は残っています。
子宮頸がんの「末期」「ステージ4」とは、どの状態を指すのか

子宮頸がんのステージ4(Ⅳ期)とは、がんが膀胱や直腸の粘膜に広がっているか、骨盤の奥の空間(小骨盤腔)を越えて広がっている状態です。膀胱や直腸の粘膜への浸潤があるものはⅣA期、小骨盤腔を越えて広がるものはⅣB期に分けられます(出典:「子宮頸がん 治療」)。
医学的に「末期」という区分はなく、ⅣA期では同時化学放射線療法、ⅣB期では薬物療法が治療の中心になります。「ステージ4=何もできない」ではありません。
まずは自分の病期を確認しましょう。病期は、治療方針を考える出発点になります。
この記事でわかる範囲と、情報の時点

この記事では、子宮頸がんの原因から症状、がんになる前の段階、ステージ別の5年生存率、検査、治療法、そしてステージ4・末期と言われたときの選択肢までを、一覧で把握できるようにまとめています。医学的な事実は国立がん研究センターがん情報サービスの「子宮頸がん」と全国がん登録のデータを根拠にし、当協会の立場からの情報とは分けて書いています。
生存率は過去の診断例の数値なので、これから治療を受ける人にそのまま当てはまるとは限りません。目安として読んでください。子宮体部にできる子宮体がんとは区別して説明します。
ステージ4でも、選択肢の整理はこれから始められる

「ステージ4」と告げられると、もう治療の手立てがないように感じてしまう方は少なくありません。しかし子宮頸がんでは、ⅣA期なら放射線治療と抗がん薬を組み合わせた治療、ⅣB期なら抗がん薬や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬による薬物療法が行われます。出血や痛みなどの症状を和らげる放射線治療や緩和ケアも、選択肢の一つです。
標準治療をサポートする形で統合医療を組み合わせるという考え方もあります。大切なのは、選択肢を整理して主治医に確認することです。当協会ではその整理を無料で一緒に行っています。
子宮頸がんの原因と、なりやすい人の特徴

子宮頸がんは、発生に関わる要因の多くがわかっているがんです。この章では、発生に関わる要因と、予防・検診の現状を整理します。
多くは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が関わっている

子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関連しています(出典:「子宮頸がん 予防・検診」)。わずかですが、HPV感染と関係のない子宮頸がんもあります。HPVは性交渉で感染することが知られていますが、感染しても、多くは免疫の働きによって自然に検出されなくなるウイルスです。
一方、ウイルスが長期間検出され続ける場合には、数年から十数年かけて前がん病変を経て、がんが発生することがあります。また、喫煙により発生の危険性が高まります。禁煙も大切な予防の一つです。
HPVワクチンと子宮頸がん検診で、予防と早期発見ができる

HPVワクチンは、子宮頸がんの発生と関連が深い一部の型のHPV感染を防ぐことができ、小学6年から高校1年相当の女子を対象に定期接種が行われています。ただし、ワクチン接種を受けたとしても、定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。
厚生労働省の指針にもとづく検診は、20歳以上は2年に1回が目安で、問診と視診、子宮頸部の細胞診と内診を行います。ほとんどの市町村では費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担で受けることができます。結果が「要精密検査」となった場合は、必ず精密検査を受けましょう。
子宮頸がんの初期症状と、進行したときの症状

子宮頸がんは、がんになる前の段階や早期には症状がないことが多いがんです。この章では、気づくきっかけになる症状と、進行したときの症状を整理します。
がんになる前の段階や早期には、症状がないことが多い

がんになる前の状態であるCINやAISの時期には症状がなく、おりものや出血、痛みもありません(出典:「子宮頸がんについて」)。腟に近い側にできた場合は、婦人科での観察や検査がしやすいため発見されやすい一方、より奥の筒状の部分にできると、発見が難しいこともあります。
早期に発見すれば比較的治療しやすく予後の良いがんですが、進行すると治療が難しいことから、早期発見が極めて重要です。症状がないうちに見つけるためにも、定期的に検診を受けましょう。気になる症状があるときは、検診を待たずに婦人科を受診してください。
不正出血やおりものの変化に気をつける

子宮頸がんが進行すると、月経中でないときや性交時の出血がみられることがあります。においを伴う濃い茶色や膿のようなおりもの、水っぽいおりものや粘液がたくさん出るといった変化があらわれることもあります。症状だけでがんかどうかを判断することはできないため、自己判断で様子を見続けないようにしましょう。
少しでも気になる症状があるときには、ためらわずに婦人科を受診しましょう。受診の際は、症状が出始めた時期や頻度をメモしておくと伝えやすくなります。早めに受診することが、安心にもつながります。
進行すると現れる、骨盤や腰の痛み・血尿・足のむくみ

がんが子宮の外に広がると、多量の出血や、骨盤や下腹部、腰の痛みがあらわれることがあります。尿や便に血が混じったり、下肢がむくんだりする症状が出ることもあります。出血や痛みは、放射線治療や薬で和らげることが可能です。
症状が出たら我慢せず、次の診察を待たずに担当医に伝えましょう。また、再発したときにも、骨盤内や腰から背中にかけての痛み、下肢の痛みやむくみ、不正出血などがみられることがあります。痛みの場所や強さ、出血の量を記録しておくと、治療の調整に役立ちます。
子宮頸がんの種類と、がんになる前の段階

子宮頸がんは、顕微鏡で見たがん組織の特徴によって種類が分かれ、多くはがんになる前の段階を経て発生します。この章では、種類と前がん病変、子宮体がんとの違いを整理します。
扁平上皮がんが約8割、腺がんが約2割

子宮頸がんは、顕微鏡でのがん組織の見え方によっていくつかの組織型に分類されます。主な組織型は扁平上皮がんと腺がんで、扁平上皮がんが全体の8割程度、腺がんが2割程度を占めます。扁平上皮がんのCIN(子宮頸部上皮内腫瘍)と腺がんのAIS(上皮内腺がん)は、どちらもがんになる前の状態です。
治療は、病期に加えて組織型や体の状態などをもとに検討されます。自分のがんがどの組織型なのかは、病理検査の結果として主治医から説明を受けられます。検査結果の書類は保管しておきましょう。
がんになる前の段階(CIN・AIS)と、円錐切除術

CINには3つの段階があり、CIN1、CIN2、CIN3と進みます。CIN3は以前「上皮内がん」とされていた病変を含み、扁平上皮がんの前がん病変とされています。前がん病変(CIN3またはAIS)が分かった場合には治療を行い、CIN1やCIN2の場合は、定期的に検査を続けて進行していないかを確かめていく流れです。
円錐切除術は、子宮頸部の一部を円錐状に切除して病変の広がりを詳しく調べる手術で、CIN3では病変を取り切る治療として行います。子宮の多くを残せますが、その後の妊娠や出産に影響が出る場合もあります。
子宮体がんとは別のがんとして扱われる

子宮は、上部の袋状の「子宮体部」と、子宮の入口にあたる「子宮頸部」に分けられます。子宮頸部にできるがんが子宮頸がん、子宮体部にできるがんは子宮体がん(子宮内膜がん)と呼ばれ、両者は区別されます。2023年に子宮頸がんと診断されたのは10,457例、2024年の死亡数は2,751人です(出典:「がん統計 子宮頸部」)。
子宮体がんの2023年の診断数は19,945例です。「子宮がん」と言われたときは、どちらのがんなのかを確認しましょう。治療法や統計も、それぞれ別に示されています。
ステージ別の状態と、5年生存率・余命の目安

「ステージ4と言われたけれど、あとどのくらい生きられるのか」。この章では、病期の分類と、全国がん登録の進行度別5年生存率、数字の読み方を整理します。
Ⅰ期〜Ⅳ期の分類と、それぞれの状態

| 病期 | がんの広がり(日産婦2020、FIGO 2018) |
|---|---|
| Ⅰ期 | がんが子宮頸部にとどまる |
| Ⅱ期 | 子宮頸部を越えて広がるが、腟壁の下1/3や骨盤壁には達していない |
| Ⅲ期 | 腟壁の下1/3まで達する、骨盤壁まで達する、水腎症や無機能腎の原因となっている、骨盤リンパ節や傍大動脈リンパ節に転移がある、のいずれか |
| ⅣA期 | 膀胱の粘膜や直腸の粘膜に広がっている |
| ⅣB期 | 小骨盤腔を越えて広がっている |
子宮頸がんでは、治療を始める前に病期を決める進行期分類を用い、Ⅰ期からⅣ期に分けられます。数字が大きくなるほど進行した状態で、Ⅰ期はがんが子宮頸部にとどまる状態、Ⅱ期は子宮頸部を越えて広がるものの腟壁の下1/3や骨盤壁には達していない状態です。
Ⅲ期では、がんが腟壁の下1/3や骨盤壁まで達するか、骨盤や大動脈の周りのリンパ節に転移しています。Ⅳ期は、膀胱や直腸の粘膜に広がるか、小骨盤腔を越えて広がった状態です。各期はさらに細かく分かれ、治療方針はこの病期にもとづいて検討されます。
全国がん登録にみる、子宮頸がんの5年相対生存率

| 進行度(2018年診断例) | 5年相対生存率 | 診断時の割合 |
|---|---|---|
| 限局(子宮にとどまる) | 95.4% | 40.4% |
| 領域(近くのリンパ節や周りの組織に広がる) | 66.8% | 41.1% |
| 遠隔(離れた臓器に転移) | 20.4% | 10.7% |
| 全体 | 73.1% | ― |
全国がん登録では、2018年に診断された子宮頸がん全体の5年相対生存率は73.1%です。進行度別では、がんが子宮にとどまる「限局」が95.4%、近くのリンパ節や周りの組織に広がった「領域」が66.8%、離れた臓器に転移した「遠隔」が20.4%でした。
診断時の割合は、限局が40.4%、領域が41.1%、遠隔が10.7%で、領域の段階で見つかる人も多いがんです。ステージ(病期)ではなく、がんの広がりで分けた「進行度」の数値である点にも注意が必要です。早い段階で見つかるほど生存率が高く、検診の大切さがわかります。
生存率の数字の読み方と、余命が数字どおりにならない理由

5年相対生存率は、あるがんと診断された場合に、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標の一つです。過去に診断された人の集団の数値であり、その後に使えるようになった薬の効果は十分に反映されていません。
がん情報サービスも、生存率は平均的、かつ確率として推測されるものであり、すべての人に当てはまる値ではないとしています。余命は病期や組織型、年齢や体の状態、治療の効き方によって変わるため、見通しは主治医に確認しましょう。数字だけで将来を決めつけず、今できることを考える材料として使ってください。
進行の仕方と、転移・再発の特徴

子宮頸がんは、進むと骨盤の中のリンパ節や周りの組織に広がり、離れた臓器に転移することもあります。この章では、広がり方と、再発に気づくための経過観察、再発したときの治療を整理します。
骨盤内のリンパ節や周りの組織に広がり、肺などに転移することもある

子宮頸がんは進行すると、骨盤の中のリンパ節に転移したり、子宮頸部の周りの組織に広がったり、子宮から離れた肺などの臓器に転移したりすることがあります。子宮頸部の周囲には、子宮を支える基靱帯などの組織があり、がんがこれらを越えて骨盤の壁まで達することもあります。
がんが尿の通り道を圧迫して起こるのが、腎臓に尿がたまる水腎症です。膀胱や直腸の粘膜にまで広がった場合はⅣA期、骨盤の外へ広がった場合はⅣB期となります。転移があっても、治療の選択肢がなくなるわけではありません。
がんが転移したと告げられたときの考え方や治療の選択は、次の記事でも整理しています。
治療後の経過観察と、再発したときによくみられる症状

経過観察は再発のリスクに応じて、治療終了から2年までは3〜6カ月ごと、その後5年までは6〜12カ月ごとを目安に行うことが勧められています(出典:「子宮頸がん 療養」)。経過観察では、問診や内診・直腸診などを行い、再発が強く疑われる場合に画像検査を行います。
再発したときによくみられる症状には、骨盤内や腰から背中にかけての痛み、下肢の痛み、不正出血やおりものの増加、下肢のむくみなどがあります。気になる症状がある場合は、定期的な経過観察のタイミングを待たずに、早めに受診しましょう。
再発したときの治療は、放射線をあてた部位かどうかで変わる

再発の治療は、再発した場所が、以前に放射線をあてたことのある部位かどうかによって大きく方針が異なります。放射線をあてていない部位に再発した場合は、放射線治療や化学放射線療法を検討し、骨盤内の再発では直腸や膀胱もあわせて摘出する骨盤除臓術が行われることもあります。
放射線をあてたことのある部位では、合併症の頻度が高くなるため、薬物療法が選ばれることが多いのが実情です。痛みなどの症状を和らげる治療もあわせて検討します。離れた臓器や多数の場所に再発した場合は、症状を和らげて生活の質を保つための放射線治療を行います。
再発を告げられたときの治療の選択については、次の記事も参考にしてください。
子宮頸がんの検査方法

子宮頸がんの検査は、細胞を調べる検査から始まり、組織診で診断を確定したあと、画像検査などでがんの広がりを調べます。この章では、その流れを整理します。
細胞診とHPV検査で、異常がないかを調べる

子宮頸がんの検査では、通常まず子宮頸部の細胞診を行います(出典:「子宮頸がん 検査」)。細胞診は、子宮頸部をブラシなどでこすって採取した細胞をガラス板の上に広げ、色素で染めて顕微鏡で観察する検査です。
結果によっては、子宮頸がんの発生する危険性が高い種類のHPVに感染しているかを調べるハイリスクHPV検査を行うこともあります。異常な細胞が見つかった場合は、精密検査に進みます。検査で気になることや痛みへの不安があれば、問診で医師や看護師に伝えておくと安心です。
コルポスコピーと組織診で、診断を確定する

細胞診で異常があった場合には、コルポスコピーという検査を行います。コルポスコープと呼ばれる拡大鏡で子宮頸部を拡大して観察し、正常、異常、浸潤がん、評価不能などに分類します。そして、病変が疑われる部分の組織を採取して顕微鏡で詳しく調べるのが、組織診です。
必要な場合には、子宮頸部を円錐状に切除する円錐切除術を行って、組織診を行うこともあります。組織診の結果で、前がん病変なのか、がんなのか、どの組織型なのかがわかります。結果が出るまでの期間や、次の受診日も忘れずに確認しておきましょう。
内診や画像検査で、がんの広がりを調べる

子宮頸がんと診断された場合には、内診・直腸診、超音波検査、CT検査、MRI検査、PET検査を行って、子宮の周りや体全体にがんが広がっていないかを確認します。膀胱や直腸にがんが広がっている恐れがある場合に行うのが、膀胱鏡や直腸鏡で内部を観察する検査です。
血液中のSCCやCA125、CEAなどの腫瘍マーカーも測定しますが、値だけではがんの有無や場所は確定できないため、ほかの検査と合わせて総合的に判断します。これらの結果をもとに病期が決まり、治療方針が検討されます。どの検査で何を調べるのか、主治医に確認しておきましょう。
子宮頸がんの治療方法と費用感

子宮頸がんの治療には、手術、放射線治療、薬物療法、緩和ケアがあります。この章では、病期ごとの治療の選び方と、それぞれの治療、費用、標準治療に統合医療を組み合わせる考え方を整理します。
病期ごとの標準治療の選び方

治療は、病期や組織型に応じた標準治療を基本として、本人の希望や生活環境、年齢を含めた体の状態などを総合的に検討し、担当医と話し合って決めていきます。前がん病変やⅠA期では、まず円錐切除術などで組織診を行い、その結果に基づいて治療方針を決めるのが一般的です。
ⅠB期やⅡ期では手術や放射線治療、同時化学放射線療法、Ⅲ期やⅣA期では同時化学放射線療法、ⅣB期では薬物療法がそれぞれ治療の中心となります。妊娠を希望する場合は、将来の妊娠や出産への影響を治療開始前に担当医に確認しましょう。
手術、円錐切除術から広汎子宮全摘出術まで

手術は、前がん病変やⅠ〜Ⅱ期の子宮頸がんに対する治療法で、がんの広がりに応じて子宮頸部の一部または子宮全部を切除します。手術の種類は、円錐切除術、単純子宮全摘出術、準広汎子宮全摘出術、骨盤内のリンパ節郭清も行う広汎子宮全摘出術などです。
広汎子宮全摘出術では、リンパ浮腫や排尿のトラブル、性生活への影響などが起こることもあります。子宮を摘出すると妊娠はできなくなりますが、性交渉は可能です。一定の条件を満たせば、子宮体部と卵巣を残して妊孕性を温存する手術を検討できる場合もあります。
放射線治療と、同時化学放射線療法

子宮頸がんの放射線治療には、骨盤の外から照射する外部照射と、子宮や腟に器具を入れて直接照射する腔内照射、放射線を出す物質をがん組織などに直接挿入する組織内照射があります。ほとんどの病期で放射線治療を行うことができ、比較的進行したがんでは、治療の効果を高めるために細胞障害性抗がん薬とともに行う化学放射線療法も選択肢です。
放射線治療を行うと卵巣の機能はほぼ失われますが、排尿機能や性生活への影響は手術より軽いとされています。年齢や体の状態、持病なども考慮して治療法を選びます。
薬物療法、抗がん薬・分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬

子宮頸がんの薬物療法は、主に遠隔転移のある進行がんや再発したがんに対して行われ、生活の質を保ち、生存期間を延ばすことが治療の目標となります。白金製剤のみによる薬物療法と、白金製剤以外の細胞障害性抗がん薬と併用する薬物療法があり、分子標的薬を併用することもあります。
また、子宮頸がんは免疫チェックポイント阻害薬による治療が保険診療で行えるがんの一つです(出典:「免疫療法 もっと詳しく」)。どの薬が使えるかは、がんの状態などによって異なるため、担当医に確認しましょう。
治療費は保険診療が基本、高額療養費制度で自己負担に上限がある

子宮頸がんの手術、放射線治療、薬物療法などの標準治療は、保険診療で受けることができます。医療費が一定額以上になった場合は、高額療養費制度を利用して、自己負担限度額までの支払いとすることが可能です。
一方、がん情報サービスは、自由診療として行われる免疫療法について、効果が証明されておらず、治療費は全額自己負担になるため、慎重な確認が必要だとしています。通院での薬物療法が長く続くこともあるため、支払いの見通しを早めに立てておくと安心です。費用の不安は、病院のソーシャルワーカーやがん相談支援センターにも相談できます。
統合医療・自然療法を組み合わせるという選択肢

統合医療は、厚生労働省の検討会で「近代西洋医学を前提として、これに補完代替療法や伝統医学等を組み合わせて更にQOLを向上させる医療」と位置づけられています。標準治療をサポートする形で、食事の改善、運動、温熱療法、心のケアなどを組み合わせる考え方です。
補完代替療法の多くは自由診療で、自己負担が増えることがあります。治療中の体力や気持ちを支えるために、生活を整える工夫を取り入れる方も少なくありません。取り入れるものは必ず主治医に伝え、根拠と費用を確認して選んでください。
当協会は、この定義に基づき、標準治療をサポートする形で信頼性の高い補完代替療法の情報を整理・提供している一般社団法人です。医師や大学教授が理事を務め、特定の商品や治療法を勧めることはありません。協会が紹介している療法の分類は、次のページで確認できます。
ステージ4・末期と言われたときの選択肢

「子宮頸がんのステージ4と言われた。余命と、標準治療以外にできることを知りたい」。この章では、その問いに沿って、ステージ4の治療、標準治療以外にできること、症状を和らげる治療とケア、副作用への対処、療養の場所、主治医への確認事項を順に整理します。
ⅣA期は同時化学放射線療法、ⅣB期は薬物療法が治療の中心

膀胱や直腸の粘膜に広がったⅣA期では、放射線治療と細胞障害性抗がん薬を同時に行う同時化学放射線療法が治療の中心になります。小骨盤腔を越えて広がったⅣB期では薬物療法が中心となり、生活の質を保ちながら生存期間を延ばすことを目標に治療を行います。症状を和らげる放射線治療を組み合わせることも可能です。
全国がん登録では、離れた臓器に転移した「遠隔」の子宮頸がんでも、5年相対生存率は20.4%です。ステージ4と言われても、治療を続けながら自分らしい生活を送る道は残されています。治療の目的と効果の見通しを、主治医に確認しておきましょう。
ステージ4と告げられ、「これからの治療を一人で決めなければ」と焦っていた60代の男性は、当協会の相談で急かされずに話を聞いてもらい、選択肢の整理と主治医に確認すべきことを一緒に考えたことで、納得して治療に向き合えたと話しています(当協会「ご相談者の声」より)。
「標準治療以外にできること」を考えるときの順番

「標準治療以外にできること」を考えるときは、標準治療と並行してできることから順に整理すると考えやすくなります。まず、緩和ケア/支持療法は、がんと診断されたときから、治療とともにいつでも受けることが可能です。
次に、国内で行われている臨床試験を探す方法もあり、参加を考えたいときは担当医に相談します。そして、標準治療をサポートする形で、食事や運動、心のケアなどの統合医療を組み合わせる考え方もあります。
どの選択肢も、主治医と相談しながら進めることが大切です。標準治療をやめるかどうかを一人で決める前に、まず相談してください。
出血や痛み、むくみをやわらげる治療とケア

離れた臓器に再発した場合や、再発したがんの数が多い場合には、症状を和らげ、生活の質を保つための放射線治療を行います。痛みについては、本人にしかわからないつらさも含めて、積極的に医療者へ伝えることが大切です。
足や下腹部のむくみ(リンパ浮腫)は、リンパ節を切除した場合などに起こることがあり、スキンケアや体重管理を続けることが予防に効果的といわれています。マッサージなどのセルフケアの方法を身につけておくことも大切です。痛みの場所や強さ、出る時間帯をメモして伝えると、薬の調整がしやすくなります。
治療の副作用と、更年期のような症状・性生活の悩みへの対処

抗がん薬の主な副作用には、吐き気や嘔吐、脱毛、白血球減少、しびれなどの末梢神経障害があり、吐き気や嘔吐は予防できるようになってきました。手術で両側の卵巣を切除したり、放射線治療で卵巣の機能が失われたりすると、ほてりや発汗、不眠など更年期障害と同様の症状が起こることがあり、ホルモン療法薬や漢方薬が処方されることもあります。
性生活によってがんの進行に悪影響を与えることはありませんが、女性としてのつらい気持ちや悩みは、担当医や看護師に伝えてみましょう。パートナーと一緒に話し合うのも一つの方法です。
薬物療法の副作用との付き合い方は、次の記事でも整理しています。
在宅緩和ケアと緩和ケア病棟(ホスピス)から、療養の場所を選ぶ

緩和ケアは、がんが進行してから始めるものではなく、がんの治療とともに、つらさを感じるときにはいつでも受けることができます(出典:「緩和ケア」)。緩和ケアを受ける場は、通院、入院、在宅療養の3つに分けられます。
緩和ケア病棟は、できる限り日常生活に近い暮らしができるように作られた病棟で、つらさが和らいだら退院して自宅に帰ることもできます。入院を待つ人がいる場合もあるため、早めに担当医に相談しましょう。本人の希望と家族の負担を合わせて考えましょう。
緩和ケアの話が出て目の前が真っ暗になったという70代の男性も、「緩和ケアはつらさを和らげながら自分らしく過ごすための医療」という考え方を知って誤解が解けたと話しています(当協会「ご相談者の声」より)。
主治医に確認しておきたい質問と、セカンドオピニオン

整理しておきたいのは、病期と組織型、治療の目的と期待できる効果、使える薬の種類、副作用と生活への影響、出血や痛みを和らげる治療、臨床試験を受けられるか、といった点です。自分が受ける薬物療法について、いつどんな副作用が起こりやすいか、どう対応したらよいかも、治療が始まる前に確認しておきましょう。
担当医の意見を別の角度から聞きたいときには、セカンドオピニオンを受けることもできます。ご家族が一緒に説明を聞くと、あとで内容を確かめ合えます。質問を紙に書いて持参すると安心です。
当協会に寄せられる子宮頸がんのご相談と無料相談

一般社団法人日本がん難病サポート協会には、さまざまな段階のがんの方やご家族から、ご相談が寄せられています。この章では、無料相談の方法と、一緒に整理できることをご紹介します。
ステージ4や再発の段階でも、ご相談いただけます

当協会の部位別事例一覧には、子宮頸がんの相談事例は掲載していませんが、ステージ4や再発など、同じ段階の方からのご相談を多くいただいています。子宮体がんや卵巣がんなど、ほかの部位の事例は一覧ページで紹介しています。
診断直後で混乱していた50代の女性からは、主治医に質問すべきことが整理でき、次の診察が少し怖くなくなったという声が届いています(当協会「ご相談者の声」より)。
どの段階であっても、「こんなことを相談してよいのか」と迷う必要はありません。経過観察中の不安についてのご相談も受け付けています。
ご家族だけの相談、匿名・オンラインでも相談できる

当協会の無料相談は、電話(平日9時〜18時)、メール(365日24時間受付)、オンラインや対面に対応しています。匿名でも可能で、ご本人が同席されないご家族だけのご相談も歓迎しています。子宮頸がんでは、女性としての悩みや家族のことなど、身近な人にも話しにくい思いを抱える方が少なくありません。
「何から考えればいいかわからない」という状態のままで構いません。当協会は医療機関ではなく、診断や治療は行いません。公的機関の情報をもとに考え方を整理し、主治医との対話を後押しすることが役割です。
末期がんのお母さまを支えていた50代の女性からは、「残された時間の過ごし方という重い話から逃げずに一緒に考えてもらえたことが支えになった」という声が届いています(当協会「ご相談者の声」より)。同じ立場の方の声は、次のページでも紹介しています。
無料相談で一緒に整理できること

無料相談では、提示されている治療の選択肢の整理、次の診察で主治医に確認したい質問の書き出し、副作用や痛みとの付き合い方、これからの時間の過ごし方、ご家族との関わり方などをお話しいただけます。統合医療や補完代替療法について気になる情報があれば、公的機関の情報をもとに見極め方を一緒に考えます。特定の商品や治療法の勧誘は行っていません。
子宮頸がんは病期によって治療が大きく異なるがんです。一人で抱え込む前に、まずは一度お話しください。ご家族だけのご相談も歓迎しています。
【まとめ】 子宮頸がんはステージ4でも、選択肢を整理すれば今できることが見えてくる

子宮頸がんの多くはHPVの感染が関わり、がんになる前の段階や早期には症状がないことが多いがんです。全国がん登録の2018年診断例では、5年相対生存率は全体で73.1%、離れた臓器に転移した「遠隔」では20.4%です。ステージ4でも、ⅣA期は同時化学放射線療法、ⅣB期は抗がん薬や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬による薬物療法が行われ、出血や痛みを和らげる放射線治療もあります。
緩和ケアを受けられるのは、診断されたときからです。標準治療をサポートする形で統合医療を組み合わせる道もあります。まずは主治医に確認したいことを整理するところから始めてみてください。
ステージ4と言われても、まずは無料相談でお話しください

子宮頸がんでステージ4と言われ、余命のことが頭から離れない、標準治療以外にできることを知りたい、ご家族としてどう支えればいいかわからない。当協会には、そうした段階の方からのご相談が多く寄せられています。公的機関の情報をもとに、選択肢と主治医に確認したいことを一緒に整理し、主治医との対話を後押しします。
お電話でのご相談は 03-5657-0995(平日9時〜18時)。メールでのご相談は365日24時間受け付けています。ご家族だけのご相談も可能です。
ほかの部位の相談事例は「がんの部位別事例一覧」でも紹介しています。
よくある質問

子宮頸がんステージ4の余命と、標準治療以外にできることは?

余命を一律に示す公的な数値はありません。全国がん登録の2018年診断例では、離れた臓器に転移した「遠隔」の子宮頸がんの5年相対生存率は20.4%です。標準治療と並行して、緩和ケア、臨床試験、標準治療をサポートする統合医療などを、主治医と相談しながら検討できます。
詳しくは 標準治療以外にできること を参照してください。
子宮頸がんステージ4は完治しますか?

完治できるかどうかを一律に示すことはできません。ⅣB期の薬物療法は、生活の質を保ちながら生存期間を延ばすことが目標とされています。ただし遠隔転移があっても5年相対生存率は20.4%で、治療を続けながら過ごす人もいます。治る可能性をあきらめず、主治医と治療の目的を確認しましょう。
詳しくは ステージ4の治療 を参照してください。
子宮がんの生存率はどのくらいですか?

「子宮がん」には、子宮頸部にできる子宮頸がんと、子宮体部にできる子宮体がんがあります。全国がん登録の2018年診断例では、5年相対生存率は子宮頸がんが73.1%、子宮体がんが81.1%です。どちらも早い段階ほど高く、病期によって大きく変わります。自分のがんの種類と病期を、主治医に確認しましょう。
詳しくは 子宮頸がんの5年相対生存率 を参照してください。
円錐切除術とは何ですか?

子宮頸部の一部を円錐状に切除し、病変の広がりを顕微鏡で詳しく調べる手術です。CIN3などの前がん病変では、病変を完全に取り切る治療としても行います。子宮の多くの部分を残すことができますが、その後の妊娠や出産に影響が出ないとは限りません。子宮頸がんの診断のために、組織診の方法として行うこともあります。
詳しくは 前がん病変と円錐切除術 を参照してください。
子宮頸がんの末期には、どんな症状がありますか?

がんが子宮の外に広がると、多量の出血、骨盤や下腹部、腰の痛み、尿や便に血が混じる、足のむくみなどの症状が出ることがあります。出血や痛みには症状を和らげる放射線治療や薬があり、緩和ケアも受けられます。つらさは我慢せず、早めに医療者に伝えましょう。症状の変化は、家族とも共有しておくと安心です。
詳しくは 進行したときの症状 を参照してください。
HPVワクチンを接種すれば、子宮頸がん検診は受けなくてよいですか?

いいえ。HPVワクチンは子宮頸がんと関連が深い一部の型のHPV感染を防ぎますが、すべての感染を防げるわけではありません。ワクチンを接種していても、20歳以上は2年に1回を目安に、子宮頸がん検診を定期的に受けることが大切です。検診では、症状のない段階の変化を調べます。
詳しくは HPVワクチンと子宮頸がん検診 を参照してください。
子宮頸がんは、どのくらいの期間で進行しますか?

HPVに感染しても多くは自然に排除されますが、感染が長く続くと、数年から十数年かけて前がん病変を経て、子宮頸がんが発生することがあります。がんになってからの進み方は人によって異なるため、検診で早く見つけ、診断後は主治医に病期と見通しを確認しましょう。気になる症状があれば早めに受診してください。
詳しくは 子宮頸がんの原因 を参照してください。
子宮頸がんの治療後に、妊娠はできますか?

前がん病変からⅠB1期までで、将来子どもをもつことを希望する場合は、妊孕性を温存する治療が選択肢となることがあります。子宮を摘出すると妊娠はできなくなりますが、性交渉は可能です。妊娠や出産への影響は、治療開始前に担当医に確認しましょう。妊孕性温存治療は、再発などのリスクも理解したうえで検討します。
詳しくは 手術の種類 を参照してください。
家族が子宮頸がんの末期と言われたら、家族にできることは何ですか?

まず本人の気持ちと希望を聞き、主治医の説明に同席して、治療の目的や選択肢を一緒に確認することです。女性としての悩みは家族にも話しにくいことがあるため、無理に聞き出さず見守ることも大切です。家族自身の不安も一人で抱えず、当協会の無料相談などで話してください。話を聞くだけでも支えになります。
詳しくは 無料相談で整理できること を参照してください。
出典
本記事の医学的な事実と統計は、次の公的機関の一次情報に基づいています(2026年10月閲覧)。
- 国立がん研究センター がん情報サービス「子宮頸がん」
- 国立がん研究センター がん情報サービス
- 免疫療法 もっと詳しく(免疫チェックポイント阻害薬・自由診療として行われる免疫療法)
- 緩和ケア(診断時からの緩和ケア・緩和ケアを受ける場・緩和ケア病棟・高額療養費制度)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」
- 子宮頸部(診断数2023年、死亡数2024年、5年相対生存率2018年診断例、相対生存率の定義)
- 子宮体部(診断数2023年、5年相対生存率2018年診断例)
- 全国がん登録生存率データ cancer_survivalNCR(2016-2018).xlsx(最新データ〈進行度別〉シート、子宮頸部 C53)
- 厚生労働省「統合医療」のあり方に関する検討会による統合医療の位置づけ(厚生労働省 eJIM、統合医療に関する日本の見解と意向)
| 本記事で示した数値 | 出典 |
|---|---|
| 子宮頸がんの診断数 10,457例(2023年)、死亡数 2,751人(2024年) | がん統計「子宮頸部」 |
| 子宮体がんの診断数 19,945例(2023年)、5年相対生存率 81.1%(2018年診断例) | がん統計「子宮体部」 |
| 5年相対生存率 全体73.1%、限局95.4%、領域66.8%、遠隔20.4%(2018年診断例) | 全国がん登録生存率データ(最新データ〈進行度別〉) |
| 診断時の進行度の割合 限局40.4%、領域41.1%、遠隔10.7%(2018年診断例) | 同上 |
| 組織型の割合 扁平上皮がん8割程度、腺がん2割程度 | 子宮頸がん 治療 |
| 経過観察の目安(治療終了から2年までは3〜6カ月ごと、5年までは6〜12カ月ごと) | 子宮頸がん 療養 |
| 子宮頸がん検診 20歳以上は2年に1回、HPVワクチンの定期接種 小学6年〜高校1年相当の女子 | 子宮頸がん 予防・検診 |

